スカイスキャナーを使って旅の計画を練る企画の第三弾。今回のオススメする旅先は天下のアメリカ様に「悪の枢軸」と呼ばれてしまったイランだ。
日本人がイランと聞いたら。。。
そんなことを思ったあなたにこそ、是非今年の夏休みはイランに行ってもらいたい。
実際に訪れてみるとイランは治安もいいし、何よりも人がとても親切。世界で一番おもてなしが得意な国といっても過言ではないのだ。
そもそもイランってどこ?
そもそもイランとはどの辺にあるのか?
中東と呼ばれる地域の東側に位置するイラン。
日本の「外務省の海外安全ホームページ」をみると。。。
出:海外安全ホームページ
危険度MAXのレベル4の国々に囲まれており、ヤバそうな雰囲気を醸し出しているが、実際は治安も安定しており旅行者も多い。
今回も日本のサラリーマンを想定して9日(5日間の長期休暇+前後の土日)という期間と航空券値段も加味して最適なルートを組んでみた。
どうやって行く?
残念ながら日本からイランへの直行便はない。。。
とにかく時間がないという人は、出来れば入国と出国を違う都市にして、時間を有効に活用したいところだ。
そのための片道航空券をスカイスキャナーで調べてみると。。。
移動時間がハンパない。。。しかも値段も高い。。。
調査の結果、一番値段もリーズナブルで時間も早いのは日本とテヘラン(イランの首都)の往復航空券だ。
日本からドーハまでJALで行き、そこからカタール航空に乗り換えてテヘランまで。これで往復10万円を切るものもある。※エミレーツ航空でドバイ経由というルートもあり。
イランのおすすめ観光都市トップ5
9日間という短い日程で、効率良くイランの見どころを観光するために、以下の5つの観光都市をオススメしたい。9日間という日程ではこの3〜4都市が限界だが、もう少し日程に余裕があるならば、5都市すべてを訪れてイランをぐるっと1周するのもありだ。
・エスファハーン
・シーラーズ
・ヤズド
・マシュハド
おすすめ観光都市1・テヘラン
イランの玄関口となる首都・テヘラン。特に主だった観光スポットはないが、初めて訪れるイランの都市となる場合は、街を散策するだけで楽める。
冬は以外と寒く、雪が降ることもある。驚くべきことは、なんとテヘランにはスキー場まであるのだ。普段はスカーフで頭を隠しているイラン女性も、このスキー場では日本で見られるようなオシャレなウェアーを身にまとってスキーやスノーボードを楽しんでいる。
あまり日本人観光客には有名ではないが、このスキー場に行くまでの山々は、テヘラン市内を一望できる絶景スポットだ。トーチャル・テレキャビンと呼ばれるロープウェイを使用すれば簡単に山々を登ることができる。
テヘランでの一番のおすすめ観光スポットだ。
《トーチャル・テレキャビン・インフォメーション》
市内からタクシーで約15分
おすすめ観光都市2・エスファハーン
かつて「世界の半分がある」と言われたイラン最大の観光地・エスファハーン(日本語だとイスファハーンとも表記される)。メインの観光スポットとなるイマーム広場はユネスコの世界遺産にも登録されている。また、ハージュ橋周辺の夜のライトアップも必見だ。
おすすめ観光都市3・シーラーズ
イラン南部に位置するシーラーズ。ここでの見どころはやはり、ピンクモスクまたはローズモスクと呼ばれるナスィーロル・モルク・モスクだろう。早朝のステンドグラスに朝日が差し込む光景は世界屈指の絶景だ。イランに来たら絶対訪れ欲しい。
Googleで画像検索をしてみるととにかく美しい。
しかし、このような絶景は条件が揃わないと見ることができない。
その条件とは…
日の光が低い冬の早朝でかつ晴れていること
もしこのモスクをメインにイランを訪れることを考えているのなら、是非冬に訪れたい。
おすすめ観光都市4・マシュハド
イラン第二の都市・マシュハド。イスラム教シーア派の聖地と言われるこの街のメインの観光と言えば、エマーム・レザー廟。シーア派8代目エマーム・レザーの墓があるモスクだが、壁一面が鏡張りの内部は必見。
このモスクはカメラやビデオの持ち込みが禁止になっていて、手荷物は預けなければならない。しかし、携帯は持ち込みがオッケーとなっており、携帯でなら写真が撮れるという不思議なルールとなっている。
昼の空いている時間にゆっくり内部を見て回り、日没の祈りの時間に合わせてもう一度訪れたい。
※日によっては外国人ツーリストはボランティアのガイドの同行が必要な場合がある。
おすすめ観光都市5・ヤズド
世界最古の宗教のひとつであるゾロアスター教の聖地であるヤズド。その旧市街は歩いてるみるだけで古代にタイムスリップしたような感覚になる。町を散策するだけでも楽しめるが、時間があれば郊外にあるゾロアスター教の鳥葬が行われていた「沈黙の塔」も見ておきたい。
9日間観光モデルコース
9日間という日程でイランを観光するモデルコースを2つ挙げてみた。
①イランの主要観光都市3つを周るオーソドックスなAコース
1日目
・日本→テヘラン(エマーム・ホメイニー国際空港)移動(飛行機・ドーハ経由 所要時間15時間〜19時間)
2日目
・テヘラン観光
3日目
・午前 テヘラン観光
・午後 テヘラン→エスファハーン移動(夜行バス・所要約6時間)
4日目
・エスファハーン観光
5日目
・エスファハーン観光
6日目
・午前 エスファハーン観光
・午後 エスファハーン→シーラーズ移動(夜行バス・所要約7時間)
7日目
・シーラーズ観光
8日目
・午前 シーラーズ→テヘラン(メヘラーバード国際空港)移動(飛行機・マーハーン航空またはイラン航空で所要約1時間半)
・午後 メヘラーバード国際空港→エマーム・ホメイニー国際空港移動(タクシー・所要約50分(交通状況による))
9日目
・テヘラン→日本(飛行機・ドーハ経由 所要時間15時間〜19時間)
イランの主要都市3つを9日間で観光するコース。時間を有効に使うために移動は夜行バスを使用したい。もしお金に余裕があるのなら、割高になるが往路はテヘランから入国、復路はシーラーズから出国というルートでも良い。
②イランの主要観光都市すべてを周る超弾丸なBコース
1日目
・日本→テヘラン(エマーム・ホメイニー国際空港)移動(飛行機・ドーハ経由 所要時間15時間〜19時間)
2日目
・午前 テヘラン観光
・午後 テヘラン→マシュハド移動(夜行バス・所要約14時間)
3日目
・マシュハド観光
4日目
・午前 マシュハド観光
・午後 マシュハド→エスファハーン移動(夜行バス・所要約20時間)
5日目
・エスファハーン観光
6日目
・午前 エスファハーン→ヤズド移動(バス・所要約4時間)
・午後 ヤズド観光
7日目
・午前 ヤズド観光
・午後 ヤズド→シーラーズ移動(夜行バス・所要約6時間)
8日目
・シーラーズ観光
※9日目の朝の便のため夜に空港へ移動
9日目
・シーラズ→日本(飛行機・ドーハ経由 所要時間約12時間)
イランの主要観光都市5つをすべて9日間で周る超弾丸コース。時間を有効に使うために入国はテヘラン。出国はシーラーズ。移動は夜行バスを積極的に使用したい。
かなり弾丸コースのため、海外の旅に慣れていない人にはオススメできないが、イランに10日以上滞在出来る日程ならこのコースを選んでも良いだろう。
その他注意点
ビザ
観光であれば事前申請不要で、空港で取得が出来る「アライバルビザ」で入国可能。このビザで30日間の観光ができる。ユーロかドル払いなので、事前に用意しておこう。
2018年10月からは、日本でもe-VISA(電子ビザ)が取得可能となった。
※最新情報は以下のURLよりチェック。
服装
男性は比較的自由だが、女性は肌を露出しない服装で髪を隠す必要がある。つねにスカーフをかぶり、長袖長ズボンで腕も足も隠さないといけない。それは外国人旅行者でも例外ではない。
こう書くと堅苦しい印象を受けるが、イランの女性たちはお洒落で、街を歩いてると皆カラフルな色のスカーフを纏っている。
現地の空港からスカーフは着用しなければならないので、スカーフは日本で用意しておこう。
国内移動(夜行バス・電車・飛行機)
9日間という短い日程でイランを効率良く周るには夜行のVIPバスが欠かせない。イランのVIPバスは3列シートで座席が広く、座席も深くリクライニングできるので快適だ。値段も長距離移動でも千円以下と破格。
バス会社もたくさんあり、基本的にバスではジュースや菓子が付いてくる。だだし、イランのバスは海外からは予約ができないので、街に着くごとに次の街のバスのチケットも買ってしまおう。
インターネット
イランではアメリカとの関係が悪いことから、FacebookやTwitterは閲覧できない(何故かInstagramやGmail、Googleは閲覧可能)。それを回避する裏技がVPNと呼ばれるもの。VPNを使えば別の国のサーバーを使ってFacebookやTwitterを使えるようになる。
どのVPNがイラン国内で対応出来るかは時期によって変わるので、無料のVPNアプリをイラン入国前に複数ダウンロードしておこう。
お金
米ドルを持っていこう!
アメリカと仲の悪いイランでは、アメリカ資本のVISAやMASTERCARDが使用できない。そのため、クレジットカードを使ってのATMでのキャッシングが不可能なのだ。基本的に旅行者は現金決済となる。
ホテルなどでは米ドルが使用できる場合もあるので、滞在日数分で必要となる米ドルを持っていき(ユーロでもOK)現地でイランの通貨に両替するのが良いだろう。
イランの通貨は扱いにくい
イランはインフレにより、通貨は紙幣だけでも10万リアルまである。
イランの紙幣:100、200、500、1000、2000、5000、10000、20000、50000、100000
ここでややっこしいのは、公称ではイランの通貨は「リアル」なのだが、地元の人はこの「リアル」という単位をほとんど使わない。
代わりに「トマン」という単位を使う。1トマン=10リアルとなる。
30万リアル=3万トマン≒1,000円と覚えておくと便利だ。
中にはこの「リアル」と「トマン」の呼称を逆手に取って、ぼったくってくる人間もいるから注意が必要。「トマン」と思いつつ支払いの段階で「リアル」だと主張してくるようなパターンだ。値段を聞くときはそれが「トマン」か「リアル」かきちんと確認しよう。
カウチサーフィン
イランに来たら、是非とも利用して欲しいのがカウチサーフィンというサービス。
海外旅行などをする人が、他人の家に宿泊させてもらう(カウチをサーフさせてもらう)という形式の相互的な思いやりや信頼による制度である。コミュニティーの軸にしたウエブサイトにて、プロフィール、身分確認制度、メンバー同士の評価等により、世界各地のメンバー間で連絡を取り相談の上で宿泊が決まる。 -Wikipedia-
つまり、世界中の旅行先で、無料で泊めてくれる地元の人を探すことが出来るサービスで、海外の旅行者とその旅行者と交流をしたい人とのマッチングサイトだ。
あくまで、旅行者と地元の人との交流が目的なので、そこに金銭的なやりとりは発生しない。
イランは「おもてなし」がとても好きな国で、道を歩いているだけで「ウチに遊びに来ないか」と誘いを受けることもある。(行くか行かないかは自己責任で)
そのため、カウチサーフィンの受け入れも盛んだ。自分もシーラーズでカウチサーフィンを利用し、イラン人の家庭にお世話になったことがある。その家族とは今でも交流が続いていて、世界を旅したときの大切な思い出の一つだ。
ただ利用時に注意したいのは、もてなされる側の態度だ。受け入れる側(イランの人達)はあくまで善意でやっている。一般のサービス業のレベルが高い日本人はついつい、自分たちはもてなされる側なので「このくらいやってもらって当たり前」という態度が出てしまうことがある。
お世話になったカウチサーフィンのイラン人家族に聞いた話だが、ある日本人女性がカウチサーフィンを使って、その家族にコンタクトをしてきた。
そこには「イランは暑いので、歩いて観光するのはヤダ。車で色々な場所へ連れて行って欲しい」「車を持っていないなら話にならないので、他をあたる」と言ったメッセージが書かれていたという。
このような行為は他の日本人の印象をも悪くしてしまう。
カウチサーフィンを利用するのであれば、節度ある態度で利用したい。
アジア人差別
イランを観光していると必ずイラン人から言われる言葉がある。
「チン・チョン・チャン」「チン」
アジア人を見るとこのようなバカにしたような言い方を何度もされる。こういうことを言ってくる連中は基本2組以上で若い男が中心だが、中には4〜5歳の小さな子どもからさえ言われることもある。
多いときは1日何十回とすれ違いざまにニヤけた顔で言われるので、これが嫌でイラン嫌いになる日本人も数多い。特にエスファハーンとシーラーズは酷く、テヘランやマシュハドでは言われることがなかったので地域差があるのかも知れない。
このようにアジア人がバカにされる理由は「中国人嫌いだから」とか「欧米の白人に対するコンプレックスに対する反動」といったことが言われるが真偽は定かではない。
こういった連中は口だけで、特に手を出してくる訳でもないので無視しておくのが一番だ。
宗教と言語
宗教:イスラム教
イスラム教シーア派が絶大な権力を持ち、国民のほとんどがイスラム教。ここまでは良く言われることだが、実は熱心なイスラム教とは、それほど多くない。
自分がお世話になったカウチサーフィンの家族も公には公言しないが、実は無宗教。モスクにすら行ったこともないという。
政府による締め付けのために仕方なくモスクに行ったり、ラマダンで断食したり、スカーフを着用したりと、表面上だけムスリムを装っている人がとても多いのだ。
この辺りのことは是非、イランに行って地元の人に話を聞いてみて欲しい。
言語:ペルシャ語
イランの大多数の人が使用する言語がペルシャ語だ。英語は観光スポットやホテルを除いてあまり通じない。日本からペルシャ語の会話帳を持っていくと便利だ。
最後に
日本人はどうしてもイランと聞くと「危険」とか「治安が良くない」という印象を抱いてしまいがちだ。周りの国の内戦に加え、アメリカから経済制裁を受けているのもイメージダウンに一役買ってしまっている。
しかし、実際のイランは治安も安定しており、旅行者も多く、人々も暖かい。日本人が思っているほど熱心なムスリムではなかったり、反米でもなかったりする。
イランに訪れてみれば、いかにイランのイメージが日本やアメリカのメディアによって作られたものかわかるはず。
9日間という短い時間で、イランのすべてを知るのは難しいが、それでも訪れる価値のある国だ。
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