最近、下記の様な横浜出身の人のプライドの高さを論じる記事を目にすることがあった。
なぜ横浜人はプライドが高いのか 埼玉人記者が「鼻で笑われた!」衝撃体験
内容は、「著者の埼玉県出身の同僚が、横浜出身の人に自らの出身を伝えたら、鼻で笑われた」というものだ。
何を隠そう自分も横浜で生まれ、中学生の時まで横浜で育った。
この手の「横浜出身のプライドの高さ」や「出身を聞かれても神奈川とは言わない」ことを揶揄するものはたくさんあるが、その理由を論理的に説明したものはあまりない。
横浜の人が考える序列やマウンティングを面白おかしく書いて、「プライドが高い」と結論づけて終わりにしたものが圧倒的に多い。
そこで、今回は横浜で義務教育を受けてきた自分が、もう一歩踏み込んで「なぜ横浜の人はプライドが高いのか?」について論理的に紐解いていこうと思う。
※本記事は個人による見解であり、すべての横浜の教育及び特徴を示すものではありません。
目次
横浜の人はプライドが高い?出身を聞かれて神奈川県と言わない理由は教育にあり!
出身を聞かれて横浜の人はなぜ神奈川と言わないのか?
出身を県ではなく市で答えるところに、横浜出身へのプライドが滲み出ているが、そのプライドは何処から来るものなのだろうか?
その答えを知る最初の一歩が、横浜市の「教育」にある。
横浜市の教育は横浜市の忠誠心を徹底的に育むため、愛国教育ならぬ愛市教育になっているのだ。
その一部を紹介しよう。
横浜市歌は国歌よりも優先
横浜で義務教育を受けたものなら、必ず歌えると言われる横浜市歌。
歌詞はなんとあの森鴎外が作詞したもので、入学式や卒業式だけではなく、始業式や終業式にも歌われる。
日本の国歌は、義務教育中に歌う機会はほとんどなく、サッカーの日本代表の試合を観戦するときしか聞くことがない。
横浜の歴史を讃える授業。大阪はかつてのライバル!
社会科の授業では「横浜150年の歴史」(150という数字は教育を受けた年代で変わる)という本で横浜の歴史を学ぶ。
といった内容で、子供達に横浜の凄さを徹底的に叩き込む。
そこでよく引き合いに出されるのは大阪市だ。
と言った風に、大阪市はかつてのライバルだった扱いをされるのだ。
この教育方法がネット上やテレビで「大阪 VS 横浜」の対立を煽る要因に一役買っているのは間違えないだろう。
ちなみに冒頭で紹介した「横浜150年の歴史」を検索すると7,560円というかなり強気なお値段になっている。
横浜開港記念日という横浜独自の休日
横浜市立の学校は、毎年6月2日が「横浜開港記念日」として全学校が休みとなる。
これは横浜市独自の休みで、あのディズニーランドさえも毎年6月2日は横浜市の子供達が押し寄せてくると身構えている程だ。
この様に教育内容だけでなく、独自の休日まで設定することで、ハマっ子達は幼い頃から「横浜への帰属意識」を植え付けられる。
では横浜の人たちは「横浜市民としてのアイデンティティ」を植え付けられていくが、「神奈川県民としてのアイデンティティ」はないのだろうか?
横浜の人達の「神奈川県民としてのアイデンティティ」がどのくらいかを表すエピソードがある。
関東圏では各県が「県民の日」というものを設定しており、栃木を除く1都4県が「横浜開港記念日」と同じく全学校を休校としている。
しかし、関東圏では神奈川県のみ「神奈川県民の日」というのは存在しない。
その理由については神奈川県庁の関係者は、以下の様に語っている。
他県は県民から「県民の日を作ろう」という要望や盛り上がりがあって決定されたものが多い。神奈川県では今のところ、そういう盛り上がりがなく議会で定めていない。
はまれぽ.com 一部抜粋
神奈川県で「県民の日を作ろう」という盛り上がりがないのは、県人口の40%を占める横浜市民に「神奈川県民としてのアイデンティティ」がないことを示唆するものだろう。
横浜の人々は、その教育により、中国における香港と同様、横浜が神奈川県の一部ではなく、あたかも神奈川県の特別行政区の様な存在だと思っているのだ。
横浜の人はなぜプライドが高い? 2位という立場が生み出すコンプレックス
横浜の人々がその教育により愛市精神が強いのはわかっていただけたと思う。
では、その横浜の人々が「プライドが高い」と言われる所以はなんだろうか?
横浜市の様な地元LOVEな教育は程度の差はあれ、どこの市町村も行なっているはずだ。
横浜市の「プライドの高さ」の要因は、市の序列で東京に次いで2番目というその立場にある。
※横浜市が2番目というのには、様々な意見があると思うが、少なくとも横浜の人々の多くは日本で2番目の都市だと思っている。
横浜市の教育を思い出して欲しい。
これは我々日本人が日本の歴史を学ぶ時の表現ととても似ている。
※2010年に日本は中国に抜かれ第3位となったが、日本の義務教育を受けた20代以上の日本人は世界第2位と習っているはずである。
この2位という立場がコンプレックスの裏返しとなっている高いプライドを生み出す原因となっている。
長らく「世界第2位の国」と教えられ続けた日本人は・・・
この様な意識が心の奥底にあり、日本人が海外を語るときは常にアメリカ(≒白人)のものばかりで、その立場から必要以上に近隣諸国のアジアの国々を下に見ることがある。
参考:海外での写真のポーズ事情「ピースするのは日本人だけ」な訳がない!
同じ様に「日本で2番目」と教わる横浜の人々も似た様な考えを持っている。
2番目というポジションは、どうしても勝てない相手が1人だけ存在し、その欠けた自尊心のピースを満たすために自分より下の相手を必要以上に見下す傾向にあるのだ。
それが日本にとっての中国と韓国であり、横浜にとっての埼玉と千葉になる。
その心の奥底にあるコンプレックスを隠すための振る舞いが「プライドが高い」と言われる所以となるのだ。
日本人が「自分達はアジア人」という意識が低いのは、横浜市民が「自分達は神奈川県民」という意識が低いのと似ている。
— Johnny@世界のどっか (@ucango_anywhere) 2018年12月11日
横浜と同じ様な都市が中国にも存在する。
それは横浜と姉妹都市としても提携している上海だ。
元々小さな漁村だった上海だが、19世紀の欧米列強の進出に伴い、開港を機に発展してきた歴史は、横浜と似ている。
だが、どんなに発展しても、首都であり歴史もある北京が存在する限り、上海は中国国内で第2の都市という位置づけになってしまう。
このブログで度々登場している、自分の中国人のパートナーも10代後半から上海に住んでいたが、彼女は下記の様に語っている。
あのWikipediaでも下記の様に記載されている。
上海は、中国で経済的に最も豊かな地方であるため、上海人はねたみもあってか、他地域では嫌われていることが多いとの意見がある。
どうやら2位というポジションにある人間の複雑な思いは、日本に限らず海外でも同じ様だ。
最後に
ハマっ子のプライドの高さはその「教育」と「2位」という立ち位置にあった。
かつて某国会議員が・・・
この様な発言をして、一世を風靡したが、2位という立場は拗(こじ)らせると差別すら生み出す危険性をはらむ。
インドやイラン、トルコ、南米の先住民が多いペルーやボリビアなどは、アジア人旅行者を見ると薄ら笑いを浮かべて「チャイナ!」「チン・チョン・チャン!」などと言っては見下してくる人間に遭遇することが多々ある。
彼らは欧米の白人に侵略された歴史を持っており、その心は・・・
この様な拗らせた思いを持っている。
事実はどうであれ「自分が2位」と思っている人間は、プライドが高く、拗らせると他を見下しかねない扱いずらい存在になってしまうことが多い。
そう。だから2位ではダメなんです。
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