最近、ドラゴンクエストウォークと言うゲームにハマっている小学校時代の友人から、こんなLineが来た。
ビアンカとは、「ドラゴンクエストV ~天空の花嫁~」(通称:ドラクエ5)に登場するキャラクターで、ゲーム内の結婚イベントで選べる花嫁候補の一人だ。
しかし、自分はこの友人の意見には賛同できなかった。
なぜなら、自分はドラクエ5をプレイする時、この結婚イベントで選ぶのは、もう一人の花嫁候補「フローラ」だからだ。
このドラクエ5が、1992年に発売してから約30年。
未だに友人達とこのドラクエ5でビアンカとフローラ、どちらを選ぶか、通称「ドラクエ5 花嫁論争」をしている。
しかしながら、この「ドラクエ5 花嫁論争」について、30年たった今でも議論しているのは、決して自分たちだけではないはずだ。
そこで、今回はこのビアンカとフローラ、どちらを選ぶか、通称「ドラクエ5 花嫁論争」について語ってみることにしよう。
目次
ビアンカvsフローラ! ドラクエ5の花嫁論争とは?
1992年にドラクエ5が発売してから約30年。
ビアンカとフローラ、どちらを花嫁にするかという論争は未だに決着をみない。
この「ドラクエ5 花嫁論争」はFF7(ファイナルファンタジー7)の「ティファ・エアリス論争」や明治チョコスナックの「きのこの山・たけのこの里論争」と並ぶ日本3大論争の1つとされる。
著名人を始め、今まで多くの人々が、この論争に答えを出そうと試みたが、2つの派閥の争いは、解決しないまま30年も続いているのだ。
ビアンカとフローラ。全くタイプの違うドラクエ5の2人のヒロイン。
果たしてこの2人。どちらが花嫁に相応しいのだろうか?
ドラクエ5 花嫁論争。ビアンカとフローラどちらを選ぶ!?
ビアンカとフローラ。どちらが花嫁にふさわしいか論じる前に、2人の性格や特徴を簡単におさらいしてみよう。
ビアンカの性格と特徴
・主人公の2歳年上の幼馴染。
・性格は天真爛漫で行動的
・常にリードしていくお姉さんタイプ
8歳の頃、主人公と出会う。
18歳で主人公と再会するまでの10年の間に、体調を崩した父のため、山奥の村へ移住。その後、母親を病気により亡くしている。
結婚相手にビアンカを選ばなかった場合、そのまま父と山奥の村に住み続け、独身のままでゲームはエンディングを迎える。
勝気な性格だが、結婚相手にビアンカを選んだ場合、
と自分に自信がない一面も覗かせている。
フローラの性格と特徴
・英語版での名前は、イタリア語で「黒」を意味するNera
・主人公と同い年の18歳
・大富豪の娘
・高い所やお化けが苦手で、やや天然
大富豪ルドマンの娘で、控え目で上品な性格。
大富豪の娘であるフローラを結婚相手に選んだ場合、旅の先々で貴重なアイテムやお金など、実家からの援助がある。
また結婚相手にフローラを選ばなかった場合、アンディという幼馴染と結婚。
というセリフとは裏腹に、ビアンカより覚える呪文が多く(ベホイミとイオナズン)、能力値としてはフローラの方が優秀となる。
ビアンカ選ぶ人とフローラを選ぶ人の違い
ビアンカとフローラ、どちらを花嫁として選ぶか?ドラクエ5発売当時、1992年の雑誌アンケートによると、以下のような結果となっている。
・フローラを花嫁に選ぶ 18%
同じ、RPGゲームのFF7(ファイナルファンタジー7)の「ティファ・エアリス論争」では、常に両者は拮抗した人気なのに対して、この「ドラクエ5 花嫁論争」では、常にビアンカが圧倒的な支持を得ているのだ。
ドラクエシリーズの女性キャラクター投票でも、ビアンカは常にフローラの上位に来ている。
それは何故か?
ドラクエ5は1992年のスーパーファミコンの発売を皮切りに、任天堂DSやプレイステーションなど、リメイク作品が何度か登場している。
そして、そのすべてのパッケージやCMにビアンカが登場し、ヒロインとしての扱いを受けているのだ。
そして、ドラクエ5の制作責任者である堀井雄二も・・・
と発言。
つまり、制作側は「ビアンカ推し」で、マーケティングの段階で、ビアンカを前面に売り出す戦略を立てている。
言わば、ビアンカはマクドナルドにおける「ハンバーガー」なのに対して、フローラはマックシェイクなどの「サイドメニュー」扱いなのだ。
そんな制作側の戦略の中で、花嫁にビアンカを選ぶ人とフローラを選ぶ人には、どんな違いがあるのだろうか?
ビアンカを選ぶ人の特徴
冒頭の友人が何故、ビアンカを花嫁に選ぶかと言うと・・・
フローラを花嫁に選ばなかった場合、フローラは別の男と結婚することになる。
しかし、ビアンカを花嫁に選ばなかった場合、ビアンカは山奥の村で独身のまま暮らすことになるのだ。
こういった理由から、ビアンカを花嫁に選ぶ人も多い。
ビアンカを選べば、誰も不幸にならない。「王道」や「ハッピーエンド」の物語が好きな人と言えるだろう。
また、ドラクエ5の発売当時、漫画「ドラゴンボール」が大人気だった。
その主人公・孫悟空が金髪になってパワーアップする「スーパーサイヤ人」が当時の子供たちの間で流行っており、その影響で・・・
と言う外見面でビアンカを推す意見も多かった。
性格面では、ビアンカは主人公より2歳の上の姉さん女房でもある。
旅の途中で、年上としての包容力を随所に見せる。
そういった点でビアンカに惹かれる人も多い。
・外見重視
・包容力があり、明るい女性がタイプ
フローラを選ぶ人の特徴
制作側を初め、多くの人が「ビアンカ推し」であるドラクエ5。
そんな四面楚歌な状態で、あえてフローラを選ぶのは、どのような人達だろうか?
投資の有名な格言で、千利休が言ったとされる言葉がある。
「他人と同じことをしている限り、利益は得にくい。 むしろ、他人と逆の行動を取ることが大事」という意味だ。
その格言の通り、フローラを花嫁に選ぶと、ビアンカの時にはない、ゴールドやアイテムと言った実家の援助が受けられる。
能力でもベホイミ・イオナズンを覚える分、フローラの方が優位だ。
周囲の行動や意見に流されないタイプと言えるだろう。
フローラを花嫁に選ぶと、ビアンカが山奥の村で独身のままエンディングを迎えることになるが、そういった面でも感情より論理重視だ。
性格でも、年上で明るいビアンカに対して、フローラは日本男子が好む「清楚で大人しい」タイプ。
こういった性格面でもフローラを選ぶ人も多い。
・感情より論理重視
・一歩下がって夫を支える良妻賢母がタイプ
花嫁にフローラを選ぶ人が増えた理由
ドラクエ5の発売当初は制作側の戦略もあり、ビアンカを花嫁に選ぶ派が圧倒的に多かった。
しかし、年月が経つにつれ、フローラ派が徐々に増えてくる。
近年の著名なアンケート結果では、フローラ派が多いのも見られるようになった。
◯ビアンカ66% フローラ18%×
【Jタウン】
◯ビアンカ62% フローラ29%×
【GAME8】
◯ビアンカ57% フローラ27%×
【ねとらぼ】
×ビアンカ42% フローラ46%◯
【exiteニュース】
×ビアンカ44% フローラ56%◯
この理由は制作側であるスクエア・エニックスが、ドラクエの別シリーズでフローラの露出を増やしたこともあるが、もう1つ大きな理由が存在する。
それは、ドラクエ5の発売時、メインプレイヤーだった当時の子供達が、大人になり結婚したことだ。
当時、ビアンカを選んだ多くの子供達が、結婚を経験し、「結婚とは何たるか」を知ったことが大きい。
とキレイごとを吐いていた子供達も、大人になり、結婚は「ボランティア」ではないことを知る。
現実の結婚は・・・
とはならない。
実際、結婚とはお互いの「実利」が優先される。
仕事が出来て(呪文を多く覚える)、実家がお金持ちで、仕送りが貰える(アイテムやゴールド)。
そして何と言っても、メインプレイヤーである昭和生まれが好きな「一歩下がって夫を支える良妻賢母」。
現実の結婚に置き換えると、フローラを選ばない理由がない。
一方、ビアンカは・・・
・お金がない
・親の介護あり
・年上
婚活だったら、真っ先に「圏外」とされるタイプだ。
そんな女性を
幼馴染だから・・・
付き合いが長いから・・・
選んであげないと一生一人だから・・・
と言った理由で選んでいては、魔王を倒さなければいけない世界はもろろんのこと、
レベルの様に簡単に上がらない給与。
モンスターと戦う時間より長い労働時間。
魔王よりウザい上司。
ある意味、ドラクエ5より過酷な現実世界を生き抜くことは出来ない。
花嫁にフローラを選ぶ人が増えた理由。
それは「結婚とは何たるか」を知った、かつての夢見る子供達が、フローラとの結婚に共感を見出したことによるものなのだ。
ちなみに、冒頭の・・・
と言っていた、30年ずっとビアンカ派の友人は、もちろん独身である。
20代に人気!?もう一人の花嫁候補・デボラ
1992年にドラクエ5が発売した当初、圧倒的多数派だったビアンカ派も、結婚の現実を知ったかつての子供達が徐々にフローラ推しになったことで、フローラ派が巻き返している。
これが「ドラクエ5 花嫁論争」の大まかな流れだ。
しかし、この「ドラクエ5 花嫁論争」をさらに複雑にする問題がある。
それが、2008年に発売した任天堂DS版ドラクエ5で初登場したデボラの存在だ。
・フローラの姉(血縁関係なし)
・上から目線の女王様気質
現在の30代以上の人にとって、デボラはパッと出てきたわき役というイメージが強く・・・
という「地雷女」の扱いをされている。
しかし、初めてプレイしたドラクエ5が、このDS版以降の20代にとっては、状況が違うようだ。
S気質の女王様という性格が、昨今の草食系タイプの男子と相性が良く、一部で強い人気を誇っている。
「ドラクエ5 花嫁論争」は、世代間でも大きな違いがあると言えるだろう。
結局、ドラクエ5の花嫁論争とは何なのか?
発売から30年経った今でも、日本各地で論じられる「ドラクエ5 花嫁論争」。
しかしながら、1つ残念なことは、制作側が「ビアンカ推し」であることだ。
CMやパッケージなどのマーケティング戦略で、常にビアンカが表に出るため、ビアンカ派が必然に多くなる。
もし、制作側がフローラ(デボラも!)をサイドメニュー扱いせず、ビアンカ同様に、マーケティング段階で等しく扱っていたのならば、FF7(ファイナルファンタジー7)の「ティファ・エアリス論争」ように、かなり拮抗した勝負になっていたのは間違いない。
言い方は悪いが、最初から多くの人が、ビアンカ派になる様に設定された出来レース。
それが「ドラクエ5 花嫁論争」の本質なのだ。
しかし、そんな中でも、その制作側のマーケティング戦略を見抜き、フローラを選んだ当時の子供たちは、人の逆を行くという選択を恐れない性質の持ち主だったと言えるだろう。
アメリカの作家であるアール・ナイチンゲールは、こう言った。
ドラクエ5の発売から30年。
大人になったビアンカ派とフローラ派の当時の子供たちは、どんな人生を歩んでいるだろうか?
どちらがより成功しているのか。
結果は語らなくてもわかるだろう。
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