香港ってどんなところ?香港で働くことになったので香港について語ってみる


数年間過ごしたシンガポールを離れ、去年の夏から縁あって香港で暮らすことになった。
 

香港と聞くとどんなイメージが湧くであろうか?
 

国際金融都市?
 

一国二制度?
 

激しいデモ?
 

ちょうど香港に住んで半年経ったので、今回は「香港がどんなところでどんな人が住んでいるのか?」を香港人の性格などと合わせて紹介してみようと思う。
 

 

香港ってどんなところ?

香港の正式名称は「中華人民共和国香港特別行政区」。
 

1842年から155年間はイギリス領で、1997年に中国に返還された。そのため、英国の文化の名残を様々な場所で垣間見ることができる。
 

返還当時の香港は、中国のGDPの20%を占め、当時の中国からすると香港を中国の1都市とするには手に余る存在だった。そこで「一国二制度」と言う名の下、返還から50年後の2047年まで香港独自の自治が認め、中国自身が力をつけ、香港をコントロールできるその日まで猶予を設けたのだ。
 

そのため、香港は独自の議会、通貨、パスポートを持っている。
 

日本人にはあまり知られていないが、第二次世界大戦 (1941–45) の間、日本に占領された歴史もある。
 

最近は、香港のビジネス街で相次いで第二次世界大戦中の不発弾が見つかり、ちょっとした騒ぎになった。
 

シンガポールも同じように日本に占領されていた過去があり、香港やシンガポールの歴史博物館に行くと日本統治時代の展示がされており、日本人として心が痛む。
 

香港はどこにあるの?

中国大陸の南にあり、沖縄や台湾より緯度が下だが、一応四季がある。冬は(1月〜2月)は、5度くらいまで冷え込むことも。
 

なぜか香港には、暖房器具というのが存在しない。東京に比べると暖かい冬だが、暖房器具なしでの冬は結構ツラい。
 

しかし、当の香港人にとって、冬というのは・・・
 

ブーツやコートを着てオシャレができる絶好の機会♡
 
 

らしく、日本人からすると「暑くないの?」というくらい着込んでいる人を見かける。
 

日本人は多い?


引用: Hong Kong handover 20th anniversary

香港の人口737万人のうち7.7パーセントの約57万人が外国人。そのうち60パーセントはインドネシアとフィリピンからメイドとしてやって来た人達だ。日本人の人口は16年のデータでは第9位の約1万人。
 

香港の生活コストが高いことやアジアの金融センターとしての地位の低下により、10年前の2万人からほぼ半減している。
 

香港から見た日本

韓国と並んで近くて安い人気の観光地と行った印象を持たれている。日本に占領されていた過去があるにも関わらず、中国人に比べると反日感情はあまりない。
 

香港人はアジアの金融の中心を担ってきたプライドがあり、似た環境のシンガポールをライバル視する傾向がある。
 

メディアでは何かと「シンガポールでは〜」という表現をよく見かけ、日本のメディアがやたらとお隣の韓国と比較しがちなところと似ていると言えるだろう。
 

香港は一人当たりのGDPは世界銀行の調査(2016年)で世界第9位。(シンガポールは3位、日本は22位)
 

GDPの話をする時、日本人はトータルのGDP(世界第3位)で語りたがるが、香港人は「一人当たりのGDP」で語りたがる。
 

メディアや教育が自国の都合の良い情報を出して、「自分達がNo.1」と語るのはどこの国も一緒なのかもしれない。
 

日本の長時間残業はとても有名。NHKや電通の過労自殺も香港の新聞で紹介されている。
 

日系の会社に勤める優秀な香港人の友人が、日本へ3年間の研修へ推薦されたが、
 

日本では働きたくない!!
 
 

とその会社を辞めてしまった。
 

それくらい、日本の労働環境は香港人から恐れられているのだ。
 

香港から見た中国


最近、ある欧米企業が香港、マカオ、台湾を独立した国のように表現し、中国に謝罪させられる事件が相次いだ。
 

それくらい、中国はこれらの地域の「独立」と言う言葉に対して神経過敏になっている。
 

それはなぜか?
 

昨今、香港の若い人を中心に・・・
 

香港は中国じゃないい!!
 
 

と言う考え方が広まっているからだ。
 

香港の選挙は表向きは直接選挙の体を成しているが、実態は中国政府の言いなりの人間が中国に都合のいい人間だけを選ぶ名ばかり選挙。(こんなことを書いたら中国政府に拘束されるかも知れないが)
 

そんな現状を打破すべく、2014年9月、学生を中心に10万人を超える市民が直接選挙を求めて中国政府に抗議。

多くの若い人が香港の未来を憂いて行動を起こしたのだ。その「雨傘運動」と呼ばれたデモを率いた1人に「女神」と呼ばれた女性がいる。
 

当時まだ10代の大学生だった周庭(アグネス・チョウ)だ。

日本のテレビやアニメ、アイドルが好きで、独学で学んだ日本語はかなりのもの。母国語の中国語に加え、英語と合わせて3ヶ国語を話す才女でもある。
 

日本のメディアへの出演経験も多数あり、彼女が率いた「雨傘運動」はドキュメンタリー映画にもなっている。

そしてもう一人、「雨傘運動」に参加し、後に最年少の女性議員となる游蕙禎(ゆう けいてい)。

しかしながら「雨傘運動」の後に、周庭は選挙に立候補をしようとするも無効とされ、游蕙禎は議員資格を取り消されてしまう。
 

このように、今まさに中国により香港の自由が奪われようとしており、若者を中心に多くの人が中国に対して声をあげているのが香港の現状なのだ。
 

【参加者200万人!】香港のデモに参加してみたので、背景や原因をわかりやすく解説してみる。

2019年6月19日
 

それにしてもこの2人、かなり可愛い。もちろんググると予測変換で「かわいい」と出てくる。

 
下記の香港のデザイン事務所が作成した”Hong Kong is not China”(香港は中国ではない)を見ると、香港人が中国をどのように思っているかを良く理解できるだろう。

「中国と香港の違い」を示したイラスト20枚がブラックすぎる!

香港人の性格

日本人から見る中国人のイメージは「大声でよく喋る」「よく食べる」「列に並ばない」などあると多々あると思うが、それがそのまま香港人に当てはまるわけではない。
 

では、香港人とはどのような性格、気質をしているのだろうか?

とにかく早い!マシンガントーク


香港人が話す言葉は広東語という中国語の方言の1つ。香港人がこの広東語を話す時のスピードは、尋常なく早い。
 

日本人から見れば中国人が話す普通語もマシンガントークのように聞こえるが、それよりも早く、どこで息継ぎをしているのか不思議なくらいだ。
 

さらに香港人はおしゃべりが大好きだ。どんな小さい噂でも会社という狭い空間なら瞬く間に広まってしまう。

お金が大好き


いい意味でも悪い意味でも香港人はお金が好きだ。
 

新年の挨拶は「恭喜發財(ゴンヘイファッチョイ、gong hei fat choi)」で「お金が儲かりますように」という意味の挨拶から始まり、新しい服やバックなどを買って身につけていると
 

日本人は・・・

日本人
そのバッグ、どこで買ったの?
 
 

となるが、香港人は・・・

香港人
そのバッグ、いくらしたの?
 
 

と値段をまず聞く。
 

お金を増やすことにも熱心で、若い20代でも友人や兄弟でお金を出し合って、日本やタイなどの不動産を買っている人も多い。香港は不動産が高いので、安い海外の不動産に投資するのが人気でもある。
 

それくらいお金に興味津々で、そのためか、香港にいる日本人は似たような気質の関西出身者が非常に多いと感じるのは気のせいではないかも知れない。知らんけど。

自己主張は強烈! アジアNo1


自分が以前住んでいたシンガポールもそうだったが、とにかく自分の考えや意見をはっきり主張する。相手が年上だろうが、上司だろうが関係ない。
 

この辺は欧米流の教育の影響(長らく英国の植民地だったため)から来るらしく、日本はもちろんのこと、中国本土の人達よりもはっきりしている。
 

給与改定の時も「いくらくれ」と上司と掛け合うし、期待より少なかったら黙っていない。有給休暇も当然の権利として100パーセント消化する。
 

そのため、大人しい部下に慣れている日本人が、駐在で香港に来て、香港人部下を持つとメンタルをやられる人もいるとか。
 

香港人には日本人のように「周囲にどう思われるか不安」と言ったものは1ミリも存在しないのだ。
 

家族・仲間を思う気持ちは日本以上!?


香港人は赤の他人に愛想笑いなどしないし、世話を焼いたりしない。そのため、日本人が香港に来るとサービス業のレベルが非常に低いと感じたり、愛想がない、性格が悪いと映るかもしれない。
 

それは日本と香港の「社会」と物差しの違いにある。
 

日本人にとって「社会」とは自分の周囲の家族や友人に加えて、いわゆる「世間様」、不特定多数の誰が含まれるが、香港人にとって「社会」とは自分の周囲の家族や友人のみしか含まれない。
 

そのため、香港人は赤の他人には無愛想で非協力的だが、一度、友達として認められるとこれでもかと言うくらい世話を焼いてくれる。
 

家族の絆も大切にする。平日は定時で帰宅し家族揃って夕食を取るのは当たり前だし、3世代が同居というパターンも珍しくない。
 

赤の他人に対する気遣いは日本人の方が上だが、家族や友人への気遣いは香港人の方が強いと言えるかもしれない。

平均寿命は世界一


香港は世界経済フォーラム(WEF)が発表した世界平均寿命ランキングで84.3歳と2年連続で世界一だ。
 

香港人は健康にかなり気を使う。「冷たいものは体に悪い」とされ、レストランで出て来る飲み物は夏でも必ず熱いお茶だ。
 

漢方茶専門店や漢方医の診療所が至る所あり、早朝には公園などで太極拳をやっている高齢者も多く見られる。
 

狭い土地なので、家族の行き来がしやすく、週末に一家で飲茶を楽しむなど孤独を感じることがないことも世界一の長寿の秘訣かもしれない。

香港の平均寿命が世界一長い理由を考察してみる

2022年1月5日

真冬でも冷房は必須

香港人は冷たいものは飲まないくせに、冬でも冷房をガンガンかける。暖房ではなく冷房だ。(そもそも香港のエアコンは暖房機能がない)
 

健康に気を使う割に、矛盾していそうだが、これは風を送ることに意味があるらしく、冷房をつけることで空気を循環させ綺麗にできると信じている。
 

香港では「風水」を信じる人が多く、この「風水」では、空気が循環せず淀むことが良くないことされる。
 

地下鉄の中で冷房がついておらず、空気が淀んで(淀んだと感じて)呼吸困難に落ち、非常停止ボタンで電車を止めた人も。 

この感覚は日本人には中々理解できないものがある。
 

そのくらい香港人は「空気」に敏感だ。その場の状況や雰囲気を表す方の「空気」には鈍感なのだが。。。
 

アジア最恐、香港女子


香港の女性はシンガポール人女性と並んで、アジア最恐と言っても過言でない。
 

香港もシンガポールも欧米式の教育から、他のアジアの国々に比べて自己主張が強い。加えて、香港人女性の場合、まくし立てる様な早口で喋る広東語のため、より一層気が強く見える。
 

容姿の方も基本、化粧はしないことが多い。街を歩いているとすっぴん+メガネの女性が多く見られる。すっぴんで外を歩くことをしない日本人女性や韓国人女性とは正反対だ。
 

見かけよりも機能性重視で、服もスニーカー率が高く、ヒールを履いている人は中々見かけない。日本人から見ると「その服にスニーカー!?」と思う場面も多々ある。
 

誕生日やバレンタインデー(香港では男性が女性に花束を送る)では、男に花束を自分の職場に送らせる。自宅ではなく、自分の職場にだ。
 

職場に花束を送らせることで、「自分がどれだけ愛されているか」を周囲にアピールするのだ。
 

こんなアジア最恐女子に香港の男性は疲れてしまったのか、英国からの返還以降「香港の男性 × 中国の女性」の婚姻数が増加。
 

香港の男性からみれば、中国の女性は「優しくて大人しい」というイメージあるらしいく、気が強い香港人女性より中国人女性を選ぶ香港人男性が増えているらしい。
 

たださえ女性の方が多い香港(男女比 8:10)で、このことが女性の結婚難に拍車をかけ社会問題にもなっている。
 

日本に留学経験のある香港人の友人(♀)曰く・・・
 

香港人女子
日本で一番モテるのは「台湾女子」、一番モテないのは「香港女子」
 
 

と自虐的に語っていた。
 

ここまで見ると「一歩下がって謙虚な女性」を好む日本人男性と香港人女性は相性は良くなさそうに見えるが、もちろん上記に挙げたのはステレオタイプなので当てはまらない女性も大勢いる。はず。。。
 

最近の20代香港人女性の性格と恋愛観の特徴を紹介してみる

2021年7月27日

香港で日本人はモテる?


香港に住んでいると、若い人を中心に日本語を勉強している人が多いと感じる。
 

香港でどのくらいの人が日本語を勉強しているか統計データーはないが、香港のレストラン等で偶然、日本語の話せる店員にあったり、カフェで日本語を勉強している人を見かけたりする確率は、他のどの国よりも高い印象だ。
 

日本政府観光局(JNTO)によると、2017年に日本を訪れた香港人は223万人。香港に住む人が約730万人なので、3人に1人が毎年、日本に来ているという計算になる。
 

日本の漫画やアニメを知っている人も多く、それくらい香港で日本は身近な存在なのだ。
 

この事実で日本人が香港でモテるという訳ではないが(モテるかモテないかは国籍ではなく、個人のスキル)、日本人と仲良くしたいと思っている香港人は、日本人が思っている以上に多い。
 

親しくなるとっかかりやチャンスは他のどの国より溢れているのだ。
 

最後に


香港には多くの外国人が住んでおり、英語も通じやすい。家を借りるのも、銀行の口座を開設するのもの日常会話の英語が出来れば問題ない。
 

シンガポール同様に、海外から有能な人材を積極的に受け入れて成長してきた歴史があるので、外国人差別も感じない。日本人にとっても非常に住みやすい場所だ。
 

しかし、アジアの金融の中心として発展してきた香港だが、昨今、中国本土の経済成長や一国二制度の揺らぎで、その影響力の低下が叫ばれている。
 

だが、今、中国が一代国家プロジェクトと位置付けるある計画が、香港を含めた中国の南側の地域で、まさに動き出そうとしているのだ。
 

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2020年9月25日
 

それを考えると、まだまだ香港は働くにも住むにも面白い場所だと言うことが出来るだろう。
 

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