憧れの海外移住。
その方法はいくつかあるが、最も簡単なのは、海外の企業に応募して職とビザを同時に取ってしまう「海外就職」だ。
かく言う自分も数年の海外放浪のあと、日本には帰らず、この方法でアジアのとある都市に就職した。
ビザを手にいれるために、ワーキングホリデーという手段もあるが、以前に書いた通り、英語も専門性も身に付きにくいし、1年程度しか滞在できないのであまりオススメはできない。
そこで今回は、自分の経験を元に海外移住の最も簡単な方法である「海外就職」の具体的な手順と方法を紹介していこう。
目次
海外で働くには?海外就職の具体的な方法
海外で就職する方法として、具体的な方法は、以下の2つがあげられる。
・海外の求職サイト応募する方法
・海外就職エージェントに登録して、職を紹介してもらう方法
オススメなのは、海外就職をしたい人に、人材紹介会社のアドバイザーがついて、職の紹介やアドバイスをしてくれる「エージェントサービス」だ。
海外就職が初めての人は、まだノウハウや経験と言ったものがないので、こう言ったアドバイザーが側にいるのはとても心強い。
また、登録費用や紹介料といた費用はいっさい発生しない。転職エージェントの業界は、登録者を採用した企業が、エージェント会社に採用者の年収の数パーセントの紹介料を払うビジネスモデルになっているため、登録者にはいっさい費用がかからないのだ。
この海外就職エージェントに登録すれば、自身の過去の経歴を見て、アドバイザーが定期的に職を紹介してくれる。
海外就職のエージェント。どこが良い?
実際に海外の案件を紹介してくれる海外就職エージェントは検索すれば、たくさん出てくるが、中には悪質な業者もあるので注意が必要だ。
以下に挙げるエージェントに登録しておけば、まず間違はない。
やはり、どのエージェントも日本人がビザが取りやすいアジアの転職に強い。
転職エージェントは、各々紹介会社の掲載数や得意な地域等に違いがあるが、一番大事なのは自分の担当エージェントとの相性だ。
親身になってキャリアカウンセリングや案件を紹介してくれる担当者もいれば、お金にならないと判断し、まったく連絡もして来なくなる担当者もいる。(こればかりは相手もビジネスなので仕方がない事情もあるが。。。)
自分で担当者を選ぶことができないので運の要素も強いが、もし相性が合わないと感じたらすぐに担当者を替えてもらうか、別のエージェントに登録しよう。
そのために、複数のエージェントに登録をしておくことをおすすめする。
就職先。選ぶならどっち? 日系 or 非日系?
エージェントから紹介される案件のなかには、日系の会社と非日系の会社がある。
日系の会社とは外国で活動する日本企業。つまり、海外にあっても日本の企業文化を有するという可能性が高い。
また、日本人が海外にある日本企業と直接雇用を結ぶことを一般に「現地採用」と呼ぶ。
・研修がしっかりしている
・日本人がいる
・採用のハードルがそれほど高くない
・日本人同士での接待や飲み会がある
・本社から派遣されてくる駐在員と比較して待遇が低い
・昇進に限界がある。
この様に日系企業は良くも悪くも日本の会社と同じ様な企業文化である場合が多い。
また日本の本社から派遣されてくる「駐在員」との待遇の差も顕著だ。
日本の悪習の1つに「駐在員>現地採用」というものがある。
多くの日系企業での要職は「駐在員」が占め、「現地採用」はどんなに結果を残そうとも「駐在員」を超えることできないシステムになっている場合が多い。
地元のローカル社員がどんなに結果を残しても、大したことをしていない「駐在員」が2倍、3倍の給料をもらっているなど日系企業では良くあることだ。
この様な階級制度、転職時の年齢制限、残業・接待当たり前の日本の企業文化は、時代を経ても国が変わってもしぶとく生き続けている。
せっかく海外に出るのだから、この様な日本のアンフェアな文化とは距離を置きたい。
しかし、初めての海外生活であれば、不安やわからないことも多々あるだろう。そのため、海外生活に慣れないうちは日系で経験を積み、チャンスがあれば、非日系に転職するのがオススメだ。
海外では、日本の様に転職にネガティブなイメージは全くない。
学ぶものがなくなったり、今より高い給料を提示されたら他の会社に移る。「より給料の良い会社へ」「より学べる会社へ」という考えが当たり前としてあるのだ。
ブラック企業注意。こんな会社は辞めておこう!
海外の日系企業の中には、「海外で成長できる」「やりがい」といった美辞麗句を並べて、不当に安い給料で人材を募集している企業がある。(“海外”の日系に限ったことではないが)
海外で経験が積めると言えど、不当に安い給料で募集している企業は、絶対に辞めて置くべきだ!
日系の経営者の中には「海外で成長できる」「やりがい」というマジックワードを使えば、安い給料でも人材が集まると勘違いしてものがいる。
そのような企業には、地元の優秀な人材は当然集まらないし、そもそも海外の優秀な人材は、そのような美辞麗句には騙されず、給与交渉も自分で行っていく。
海外転職エージェントにも、そのような所謂ブラック企業を紹介してくる場合が残念ながらある。(内定が決まってしまえば、紹介手数料が手に入り、エージェント自身の成績につながるからだ)
このような企業やエージェントにはきちんと「No」が言える日本人っていうところを見せ付けておこう。海外の優秀な人材を相手に仕事をする場合は「Yes」「No」がはっきり言えなければお話にならない。日本人がお得意とする曖昧な回答は受け入れられないのだ。
自分も日本人なので、お世話になっているエージェントや面接官に「No」を突きつけるのハードルが高い気持ちは十分理解できる。
しかし、海外の優秀な人材と働くためには、自分の言いたいことは、はっきりと言うべきなのだ。
海外就職の給料。いくらが目安?
給料の目安は、国の物価によって給与の相場が違うので、月いくら貯蓄できるかで考える。
給料から税金や家賃、食費などの毎月発生する固定費を差し引いて、いくら残るか?目安は、日本で暮らしていた時の金額と同等か、少なくとも8割くらい金額だ。
東京で暮らす場合、額面で30万をもらっていたとしたら、そこから税金、家賃、水道光熱費、食費などを引いて10万円くらいは残ると思う。
これくらいの金額を手元に残すには、物価の高いシンガポールや香港では、日本と同等以上の給料をもらわなければならないし、タイのバンコクであれば、日本円で20万〜25万くらいあれば足りるだろう。
いくら海外で働けるからといっても、貯金もできない不当に安い金額で、自分を安売りするのは辞めるべきだ。
【関連記事】香港・現地採用の給与・生活費を大公開!
海外就職に必要なスキル。語学力はどの程度必要?
現地の人から見たら、外国人である日本人が海外で働くということは、現地の人の雇用を奪っているということになる。
そのため、外国人である日本人が海外で働くには、現地の人では生み出せない付加価値を常に提供していかなければならない。
言い換えれば、海外で働くということは、常に「自分がその国にどんな価値を提供できるか?」を意識して、結果を残し続けなければならない環境に身を置くことなのだ。
結果を出し続けるためには、やはりある程度の語学力と日本での数年の社会人経験は欲しい。
自分は新卒で日本の会社に入社して7年程働いた。ここで培った仕事に対する姿勢や周囲の人間への気配り、調整力、細部へのこだわりは他の国の人には真似できないものだ。
これらの日本で仕事を通じて身につけたものは、海外に出ても大きな武器になる。
海外での仕事は質や細部より、スピードが重視される傾向があり、かつ周りの意見を考慮する前に自己を主張をするというのが当たり前の環境だ。
生まれながらに、そのような環境で育ってきている人たちと同じ武器や土俵で勝負しても勝ち目はない。
だからこそ、彼らが真似できない仕事への細部へのこだわり、周囲への気遣いと調整力といったもので付加価値を生み出していくのだ。
そのため、日本流の仕事の「いろは」をもったない大学生が、新卒で海外就職を目指すのは個人的にはオススメしない。
語学力については、アジアの国で働く場合でも最低、TOEIC800点以上の英語力は欲しい。
日系の会社でお客さんも日本人ばかりのため、語学力不問という会社もある。しかし、上記にも書いた通りあくまでも日系の会社は次のステップのための踏み台だ。
周りが日本人ばかりで、日本語しか使わない環境では海外に出てきた意味がない。
非日系の外資系会社で働く場合は高い語学力が要求される。海外に就職した時点では、そこまで語学力は必要とされなくとも、より高みを目指すなら英語のブラッシュアップは常に行っていこう。
【関連記事】新卒で海外就職は絶対辞めておけ! 〜海外就職の不都合な真実〜
海外就職の心構え
ひと昔前の日本は、経済が好調で自国の市場だけでやっていける時代だった。しかし現在の日本は、高齢化社会や人口減少など様々な社会問題に直面し、海外と繋がらないと生き残っていけない状況だ。
10年くらい前までは、海外就職と言えば、アウトローや日本で就職できなかった人がするというマイナスなイメージがあったのは事実だが、今は優秀な人材ほど海外に行く時代だ。
今の日本の古い世代は、海外就職に関して否定的な見方をする人間もいる。
「日本が良かった」時代に生まれて、若い時代にそのような日本で過ごした世代には、海外で、特にアジアで働くとなると、どこか否定的であり「逃げ」や「負け」などと捉えてくるのもいるだろう。(欧米の国々には憧れを持っているが。。。)
そして、そのような古い世代の「ありがたいアドバイス」を聞いて、海外就職を断念した若い人を何人も見てきた。
このような光景を見てきて、日本人は「空気」を読むのは得意だが「時代」を読むのは苦手なように感じる。
これからの「時代」を読める人間になれば、必然的に海外就職で経験を積むというのは、自分の経験上でもキャリア上でも大きなアドバンテージになるのは理解できるはずだ。
「日本が良かった」時代を知らない若い世代は、そのような二度と戻らない時代を懐かしむことが、いかに無意味であり、また今後の日本は海外との繋がりなしには生き残って行けず、今の日本の終身雇用や労働環境、価値観が、いかに時代にそぐわないものかというのを危機感を持って認識していなければならない。
確かに、海外就職は新しい時代の働き方のため、ロールモデルは少ないし、マイナーな選択肢であることも事実だ。そのような道を選択するのに不安があるのも当然だ。
しかし、海外の優秀な人材と切磋琢磨し自分で未来を切り開くことは、これからの時代を生き残るのに必ず大きな経験になることは間違いない。
「空気」は読まなくていい。「時代」を読める人間になるべきなのだ。
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