香港には多くの外国人が暮らしている(全人口の7.7%、日本は1.8%)。
旧イギリス領だったこともあり、英語を話す人も多く、ローカル言語の広東語を使えなくても暮らしやすい。
家を借りるのも、銀行口座を作るのも、携帯を契約するのも日常会話の英語ができれば問題なく、外国人にとって非常に住みやすい環境だ。
今回はそんな香港生活の一部を紹介して行こう。本やTVでは、ぶっちゃけられないことまで、正直に書いてみた。
目次
オクトバスカード 〜香港生活では欠かせない必需品〜
香港での生活で欠かせないのがこの「オクトバスカード」。香港で生活している人で持ってない人はいないと言っても過言ではない程の必需品。広東語では「八達通(パッダットン)」と発音する。
香港の交通機関(タクシーを除く)や買い物の支払い時に利用できるプリペイド式ICカード。日本のスイカのようなものだ。
空港や駅の窓口、コンビニで購入することができ、駅の専用機やコンビニでチャージが可能。自分の家もそうだが、マンションによっては、セキュリティーカードとして使用できる所もある。
家賃 〜家賃の高さは世界一〜
香港の家賃は世界一高い。賃貸だったら同じ広さの間取りでも東京の2倍以上、場所によっては3倍。新築住宅1戸当たりの平均価格は1,255万香港ドル(約1.8億円)もする。
この家賃の高さに現地の香港人も非常に頭を悩ませており、結婚しても家賃が高くて払えず、親と同居という夫婦も少なくない。1人暮らしの香港人というのはまず聞かない。
日本の会社から派遣される駐在員は家賃補助があるが、自分のような香港ローカル企業にいる場合は、この家賃の高騰ぶりは非常に悩ましい問題だ。
そのため、自分の周りの外国人の友人はルームシェアをしているケースも多い。
買い物 〜何でも手に入る買い物天国〜
物価は日本より少し高いが、日本のものも数多く手に入るので、生活に困ることはない。
ただし、日本のようなサービスは期待しないほうが良い。コンビニやファーストフードでは携帯を弄りながらの仕事は当たり前だし、笑顔で接客など皆無。
もちろん、高級レストランやホテルなどはそれなりのサービスが受けられる。
日本のようにチェーン店の牛丼屋に高級レストラン並みのサービスを求めること自体に無理があるのだ。
香港に限らず、海外では「安かろう悪かろう」がサービスの基準になる。
ネットショッピングはあまり利用されていない。香港は土地が狭いため、どこに住んでも近くに大型ショッピングモールがあるからだ。
交通機関 〜安い・早い!でも危険もいっぱい〜
香港の主な交通機関は5つ。これらの交通機関を使えば、香港のどこに行くにも1時間以内で行くことができる。
MTR
時刻表はないが、早朝の通勤ラッシュ時は2~3分おきに来るし、人身事故で列車が止まることとも無縁だ。
車内の携帯電話の通話はOKだが、飲食は禁止。香港では”MTR”、シンガポールでは”MRT”と呼ばれているので、非常にややっこしい。
シンガポールの”MRT”はドリアンの持ち込みは禁止だが、香港は禁止されていない。ただ禁止されていないからと言って、ドリアンを持ち込むのは周りの乗客の顰蹙(ひんしゅく)を買うので注意が必要だ。
以前、本当にドリアンを持ち込んで他の乗客から顰蹙を買っている人を見たことがある。
香港のMRTの駅には銅鑼湾(コーズウェイベイ)駅は「紫」、尖沙咀 (チムサーチョイ) 駅は「黒」と言った具合に、それぞれのテーマカラーが存在する。
これはMTRの駅を建設する時に、時のお偉いさんが「憂鬱な通勤時間を少しでも楽しんでもらえれば」という配慮から来ているらしい。
一番人気は彩虹駅の「レインボーカラー」とか。
出典元:http://hongwrong.com/every-mtr-stationタクシー
「香港のタクシーは値段が日本より安く気軽に乗ることができる」と日本の某有名なガイドブックには書いてある。
が、香港に住む日本人はタクシーを極力利用しない人も多い。
残念ながら、香港のタクシーは非常に評判が悪い。態度もさることながら、小銭稼ぎのために遠回りをすることも多々ある。
外国人だけでなく地元の香港人を相手でもそのようなことをするため、香港人の友人ですら怒りを露わにするほどだ。「あいつらは人間のクズだ」と。※もちろん、真面目なタクシーの運転手もたくさんいる。
自分はトラブル回避のため、専らUber(ウーバー)を利用している。Uberであれば、料金があらかじめ決められているし、ドライバーに評価もつけられるのでトラブルが非常に少ない。
バス
香港で代表的なのが、この2階建てバス。
慣れていないと車酔いする程、運転は荒くスピードが早い。加えて、バス会社の運転手の労働環境も良くなく事故も多い。
18年2月にもスピードの出し過ぎで、死者19名負傷者60名以上の事故を起こして、香港の旧正月の花火、パレードが自粛になった。関連記事:19 killed in Hong Kong bus crash
そのため、観光客に人気の2階の一番前の席は、地元の人は座らないと言われるくらいだ。
フェリー
代表的な香港島ー九龍半島間を始め、離島行きの船など様々な路線が存在。料金も香港島ー九龍半島間なら30〜40円程度と他の交通機関に比べると圧倒的に安い。
自分の会社でもフェリーで通勤している同僚は多い。香港の夜景を見ながら、船に揺られて帰宅なんてかなり粋ではないだろうか。
トラム
香港島を走るトラムもかなり趣がある。フェリー同様、料金も一律2.3香港ドル(約30円)と格安だが、如何せん走るスピードがかなり遅い。
海外から来た友人を案内するときは喜ばれるが、それ以外で使うことはあまりない。
病院・美容院 〜レベルの高い病院と技術の低い美容院〜
香港は、医療レベルに関しては水準は高い。英語も通じる。ただし、健康保険制度に該当するものはなく、基本、医療費は全額自己負担。会社で医療保険に加入してくれる所も多いが、保険の内容が十分でない場合、個人で別途医療保険に加入している人も多い。
また、香港の多くの会社では風邪などで欠勤した場合のために、有給とは別に「傷病休暇(Sick Leave)」と呼ばれる休暇を導入している。
シンガポールにも同様の制度があったが、これを有給休暇の様に使用して、公然と休む人もいるとかいないとか。。。
香港の美容師は、日本の様に国家資格がいらない。そのため(?)髪型にバリエーションがなく、「ツーブロック刈り上げ」の一択のみ!ホントにみんな同じ髪型をしている。
自分は「ツーブロック刈り上げ」は似合わない顔をしているので、少々値は張るが、いつも日系の美容室を利用している。
その他 〜香港で感じたアレコレ〜
ここからは、香港に住んで感じた日本との違い、カルチャーショック等を紹介していこう。
距離感が近すぎる相席文化
香港は狭い土地に多くの人が集まっているため、「相席文化」というものがある。レストランのなどの飲食店で、店内が混雑していれば、知らない人と丸テーブルをシェアするのだ。
レストランなどの飲食店なら、まだ我慢できる。テーブルも広いのでそこまで不快感は感じない。
しかし、この習慣をオシャレなカフェなどでヤられるとかなり戸惑うことになる。
日本ではカフェでコーヒーを飲んでいる時に、たとえ店内が混んでいてもテーブルを挟んで向かい側の席に、誰かが座ることはまずない。
しかし、香港では狭いテーブルにも関わらず、向かいの席にどこの誰かもわからない人が座ってきて、テーブルをシェアしなければならないことがある。
これは完全に日本人のパーソナルスペースの許容範囲外。
外国人(香港人以外の移住者)や若い香港の人ならまだ良い。「ここに座ってもいいですか?」と一声かけてくれるからだ。
しかし、香港のおじいさん・おばあさんクラスになると一声かけるまでもなく、さも当たり前に座ってくるので、香港の習慣とは言え「誰やねん、お前?」と言いたくなってしまう。
この香港の習慣を利用して、香港のオジサンが、他の席が空いているにも関わらず、キレイなお姉さんの座っている席に無言で相席する場面もたまに見ることがある。
流石の地元の香港のお姉さんでも「誰やねん、お前?」という顔をしている。
1階が2階な香港
多くの香港の習慣は英国に影響されており、エレベーターの表記も例外ではない。
英国と香港では1階をグランドフロアーと呼び、2階をファーストフロアーと呼ぶ。そのため、エレベーターの表記が日本で言う1階が「G」または「0」と表記され、2階が「1」がと表記されるのだ。
長く日本で育った自分からすると、これは今だに慣れない。どうしてもエレベータに乗る瞬間に「1」を押してしまいそうになるのだ。
グランドフロアーに行きたいのに、誤って「1」を押してしまった時の香港人の視線は非常に冷たい。
ちなみに香港人は非常にせっかちなため、エレベーターで人が降りた瞬間に「閉」ボタンを連打する。
人懐っこいがとても繊細な”G”
※写真は人間に人気のホタルさんを代用
日本の「ゴキ○リ」は人目を避けてこっそり生活している。そのため、あまり飛ぶこともなく、高層階には侵入しないと言われている。
しかし、香港の「ゴ○ブリ」はそうではない。全く違う生物と考えた方が良い。
まず大きさだ。とにかくデカい。日本の「○キブリ」の2倍はある。
その上、とても人懐っこい。高層階でも窓から侵入し、部屋の中を飛びまくって、自己アピールをしてくる。初対面でも人間に向かって飛びついてくることもある。
それくらい、かまってちゃんな香港の「ゴキブ○」だが、実はとても繊細だ。
殺虫剤を一振りかけるだけで即死してしまう。
人懐っこくて繊細な香港の「ゴ○ブリ」と人見知りで太々しい日本の「ゴキ○リ」。
性格が全く正反対の両者。
ちなみに日本女子は人懐っこくて繊細だが、香港女子は人見知りで太々しい。
最後に
こうして見ると家賃や物価の高さ、サービス業の質などで、生活のしやすさは明らかに日本に軍配が上がる。
しかし、香港には「自分は自分、他人は他人」という個人主義なところがあり、いい意味で、他人の目を気にしないで生きている。「会社」という場所に自分の人生を捧げることもなく、家族や友人と過ごす時間も大切にする。彼らにとって仕事とは人生の一部に過ぎない。
どちらが良い悪いではなく、「暮らしやすさ」なら日本、「生きやすさ」なら香港と言えるかもしれない。
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