先日、仲が良い日本の友達グループで、とある南の島にバカンスに行ってきた。
しかし、そこで自分史上、TOP3くらいに入るくらいの理不尽な経験をすることになる。
その発端となったのは、同じグループの1人、J子という名の女性である。
・ぽっちゃり体型
・独身、彼氏なし
・インスタ大好き
自分はカメラが好きなので、旅行の時は、結構値段の貼る一眼レフをいつも携帯している。
自慢になってしまうが、一眼レフで撮った写真を投稿している本垢のインスタのフォロワー数も、それなりに多い。(言わずもがな、このBlogとそれに連携したTwitterは裏垢である)
そんなカメラ小僧の自分に、このJ子は・・・
自分の写真を見て、「こんなのは自分じゃない!!」とキレだすJ子。
そして、これが大ゲンカに発展し、この旅行はかなり気まずいものとなってしまったのだ。
嘘の様な話だが、若い女性を中心に、この様に加工されていない写真に対してのクレームが増えているという。
最近、営業写真館の写真師が、若い女性の写真を納品すると、「ちがう。これ私じゃない! こんな顔してない!」とキレられることが多いとの事。
「みんなさあ、プリクラとかスマホで可愛く修正した自分の写真に慣れちゃって、それが自分の顔だと思い込んじゃってるんだよね」って。— 井上 晃 (@starwagon99) February 8, 2018
自身の写真を見て、ヒステリーを起こすJ子を見て、少し日本の未来が心配になってきてしまった。
そこで、今回は自撮りの写真加工の弊害について書いていこうと思う。
自撮りと写真加工。そしてSNS・・・昭和生まれと平成生まれの違い
昨今のPhoto ShopやSnowに代表されるカメラアプリやツールの技術進歩は凄まじく、誰にでもお手軽簡単に写真の修整が出来てしまう。
既出のJ子もそうで、盛れた自撮りの写真をインスタなどのSNSに頻繁にアップしている。
その写真を見ると、顔を盛るだけに止まらず、体型まで大きく修正されており、デ・・ぽっちゃり体型のJ子の体重は、半分以下に激ヤセし、くびれまで出来ている始末。
彼女にとって、白い肌、大きい目、そしてくびれがある体型がもはや虚構ではなく、現実となっているのだ。
実は、自撮りと写真の加工に命を懸ける彼女の様な存在は、自分の様な昭和生まれ世代にはあまり見られない。
その理由を自撮りと写真の加工の歴史から、説明しよう。
カメラ付き携帯は、自分が中学生時の2001年に初めて登場した。(年齢がバレる!!)
その頃、インスタやFacebookといったSNSやSnowといった写真加工アプリは、もちろん存在しなかった。
そして、何よりも携帯を使っての「自撮り」という文化もまだまだ浸透していなかったのだ。
自撮りをしようものなら・・・
と言われるのが常だった。
そのため、昭和世代は携帯を使っての「自撮り」に抵抗がある世代でもある。
しかし、J子のような平成生まれ世代は、10代の頃からカメラアプリに慣れし親しみ、自撮りにも抵抗がない。
そして、そのカメラアプリで加工して盛れた自撮りを公開できる、インスタやFacebookといったSNSも登場した。
この「いいね」機能があるSNSの存在は、承認欲求を刺激して、さらなる自撮りの加工へと平成生まれを突き進めていく。
自撮りの文化とカメラアプリの進化。そして、その承認欲求を満たす「いいね」機能がついた各種SNS。
この3つが1つの時代に初めて揃って登場したがために、J子のように、作られた「虚構」と「現実」の区別がつかない人間を生み出してしまったのである。
SNS用の自撮り写真の加工がもたらす現代病
写真の加工技術の進歩が進めば進む程、J子の様なケースは増えてくるだろう。
努力をせずに手に入るお手軽な美。
誰にだって「可愛くなりたい」「かっこ良くなりたい」という気持ちはある。もちろん、それを否定するつもりはない。
しかし、このまま写真の加工技術の進歩が進んでいけば・・・
学校では・・・
結婚式では・・・
修正前の写真が「すっぴん」などと呼ばれ、公に見せるのもNGになるかもしれない。
さらに顔認証の技術が進めば、車の免許証やパスポートなど本人確認の意味での写真は必要なくなる。
免許証やパスポートにも、自分の理想の顔や体型に加工した写真の使用が認められるかもしれない。
カメラマンはカメラそのものの技術ではなく、顧客を満足させるような顔や体型への加工技術が要求されるだろう。
理想の体型になることを謳ったライザップのようなサービスも流行らなくなる。
これらのことは、本当に起こり得る「未来」なのだ。
だが、そんなお手軽に手に入る虚構で満足してしまう人間は「世界の平和に貢献したい」と言いながら、途上国にボランティアに行く訳でもなく「ドラクエ」で魔王を倒して、世界平和に貢献しているつもりになっているのと何ら変わりはない。
写真の加工だけではない。昨今は、バーチャルリアリティのような仮想現実も世間を賑わせている。
携帯にカメラさえついていなかった青春時代を過ごした昭和生まれ。
自撮り写真をアプリで加工し、SNS上で賞賛される青春時代を過ごした平成生まれ。
仮想現実が身近にある青春時代を過ごすであろう令和生まれ。
現実に生きる人間とバーチャルに生きる人間。これからの世の中は、この2つに大きく二極化していくことは間違いない。
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