何故、日本のサラリーマンは気持ち悪い忖度ばかりするのか?


とある日本の会社での出来事。
 

この会社のある部署では、異動により、新しい部長が就任ばかり。
 

新部長
A君、この部署の全体の業務がわかる資料ある?無なければ無いでいいけど・・・
 

A君
すいません。そう言った資料はありません。
 

ここまでは、どこの会社でもある至って普通の会話だ。
 

しかし、日本の会社では、ここで余計なヤツがしゃしゃり出ることが良くある。
 

忖度課長
資料がないとは失礼だろ!今すぐ作れ!
 

お分かりいただけるだろうか?
 

この課長の気持ち悪さに。
 

逆に言えば、この課長の気持ち悪さを理解出来ず、課長に共感してしまう人がいれば、その人はもう人として末期だろう。
 

そこで今回は、世界基準から見て、この課長がどれだけ気持ち悪いかを説明し、日本のサラリーマン社会で気持ち悪い忖度が蔓延する理由を紐解いていこう。
 

 

上司に忖度する程、評価される気持ち悪い日本社会

忖度課長
資料がないとは失礼だろ!今すぐ作れ!
 

この課長は、資料がないことに対して、心から失礼だと感じている訳ではない。
 

ただ、
 

忖度課長
私は誰よりも部長のことを考えていますよ~
 

というアピールをしたいというのが本心なのだ。
 

部下(A君)をダシに使って、自分の有能さと忠誠心をアピール。
 

この課長に一定の気持ち悪さを抱く人も多いと思う。
 

まるでジャイアンに忖度するスネ夫。

鬼滅の刃なら上弦の肆・半天狗

ワンピースなら黒炭オロチ

ダイの大冒険ならザボエラ

聖闘士星矢なら蟹座と言ったところだろう。
 

鬼滅の刃12巻より/集英社

 

このように立場の上の者に媚を売る小賢しい、狡猾なキャラは、日本のアニメでは常に嫌われる存在だ。
 

しかしながら、日本の中間管理職には、このような人間が実に多い。
 

何故なら、日本のサラリーマン社会は仕事の取り組みや成果よりも、如何に上司を気持ち良くさせるかという「忖度」で評価される仕組みだからだ。
 

中間管理職が、その上司である部長や役員のために・・・
 

飲み会の席で、若い女性を隣に座らせお酌させる。

若い女性にお茶を出させる。

バレンタインデーに、女性にチョコレートを配らせる。

ゴルフコンペでは上司に勝ちを譲る。
 

日本で働いていた時に、自分の身近に実際あった一例だが、こういったスネ夫の様な中間管理職は、日本のサラリーマン社会に蔓延しているのだ。
 

なぜ忖度することが評価されるのか?

それでは、なぜ日本のサラリーマン社会には、こんなにも忖度することで評価される仕組みなのか?
 

それは単純に、年功序列の文化だからという訳ではない。
 

日本のサラリーマン社会に忖度が蔓延する理由。
 

それは2つある。
 

以下、それぞれ見ていこう。
 

理由1.減点評価による満たされない承認欲求

1つは、日本人の「満たされない承認欲求」によるものだ。
 

承認欲求とは一般的に・・・
 

自分のことをもっと評価して欲しい
 

自分を価値ある存在だと認めてもらいたい
 

と言った願望のことを言う。
 

日本人は、この承認欲求が海外の人と比較して強い傾向がある。
 

それは何故か?
 

日本人は幼い頃から、周囲と同じ様に振る舞うことを常に求められる。
 

そして、周囲と違ったり、異なる振る舞いをすると非難を受ける。
 

そのような環境の中で育つと、褒められる経験が諸外国と比較すると圧倒的に少なくなり、自分の価値や存在意義を肯定できる機会を失ってしまうのだ。
 

そのため、大人になっても自己評価が低く、満たされない承認欲求を抱えて、悶々としている人が多い。
 

だからこそ、上司の立場でもあるいい歳したオジサンが、部下の忖度を何の疑問もなく受け入れ、満たされてしまうのだ。
 

理由2.承認欲求を満たすコミュニティの欠如

日本人の多くは、大人になっても自己評価が低く、満たされない承認欲求を抱えて、悶々としている。
 

しかし、問題はそれだけではない。
 

もう1つの大きな問題は、自分の価値や存在意義を肯定できる場所が会社以外にないことだ。
 

日本は今でこそ、転職が一般的になったものの、多くの人が未だに1つの会社に勤めあげる。
 

また勤務時間も長く、一日中会社に拘束されるため、職場以外で居場所を作るのが難しく、会社が居場所になっているケースも多い。
 

そのため、日本の社会人は交流範囲が狭く、多様な価値観に触れる機会が少ない。
 

中華圏のおじさんのように、行きつけの飲茶で集まって友人の輪を広げていくようなことや、欧米のように恋人や配偶者とパーティに積極的に参加し、交流を深めていくといった文化も希薄だ。
 

つまり、多くの日本人にとって、人とコミュニケーションを出来る場所が、会社しか存在しないのだ。
 

自分の価値や存在意義を肯定できる場所が会社しかない。
 

だからこそ、自分をヨイショしてくれる部下に対して、好感を抱くのだ。
 

満たされない承認欲求を満たすために。
 

まとめると・・・
 

日本のサラリーマン社会に忖度が蔓延する理由
1.幼い頃から、褒められることが少なく、大人になっても満たされない承認欲求を抱えている
2.自分の価値や存在意義を肯定できる場所が会社しかない
⇒自分をヨイショしてくれる部下に対して、好感を抱く
 

つまり、日本のサラリーマン社会に忖度が蔓延する理由は、いい歳をしても強い承認欲求を持ったままの満たされないおじさん達をなだめるためなのだ。
 

冒頭の忖度課長も本当は、忖度などして周囲から半天狗(上弦の肆)などと思われたくはなかっただろう。
 

日本のサラリーマン社会でも、竈門炭治郎みたいに、真っ直ぐなヒーローの様な生き方をしたかったに違いない。
 

鬼滅の刃15巻より/集英社

 

しかし、生き残る(出世する)ためには、日本のサラリーマン社会がそれを許さなかったのだ。
 

日本にイノベーションが生まれない理由


日本のサラリーマン社会に蔓延る忖度。
 

冒頭でも部長が・・・
 

新部長
A君、この部署の全体の業務がわかる資料ある?無なければ無いでいいけど・・・
 

と部長本人が「無なければ無いでいいけど・・・」と言ってるにも関わらず、
 

忖度課長
資料がないとは失礼だろ!今すぐ作れ!
 

という忖度課長。
 

こういった無駄な業務、本質的でない仕事というのは日本で多く存在する。
 

日本ではGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)の様なイノベーション企業が生まれないという話はよく聞く。
 

それもそうだろう。
 

誤解を恐れずに言うと、日本人の仕事は、オジサン達の承認欲求を満たすためのものが多く占めるからだ。
 

しかしながら、その日本の悪しき風習も変わりつつある様だ。
 

Googleで「忖度」と検索すると、予測変換で「忖度しない部下」、「忖度しない若者」と言ったワードが表示される。
 

これは、Googleで検索されることが多いことを表れだ。
 

それだけ、忖度しない部下や若者に不満を持っている上司のオジサン達が多いのだろう。
 

確かに、今の若者は、終身雇用が崩れかけた現在、会社に対する忠誠心が低く、デジタルネイティブでもあるため、会社以外で自分の居場所を作るのが得意だ。
 

会社で上司に忖度するインセンティブ(見返り)がない。
 

これから上司に忖度をしない若者が、どんどん増えていくだろう。
 

そんな上司の立場であるオジサンたちが、行き場を失った承認欲求を満たすため、SNSにさまよったりし始めている。
 

SNSで若い子に絡むキモいおじさんから見える日本の社会問題

2022年1月30日
 

彼らが引退した後、忖度しない今の若者がリーダーになった時、少しは日本もイノベーションを起こせる国になっているだろうか?
 


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