ある日、ブラジルのサンパウロに住む友人からメッセージが来た。
彼女は世界一周中にボリビアで出会い、一緒にボリビアからチリまでを旅をした仲だ。もちろん彼女のホームタウンのサンパウロでもお世話になった。
そんな彼女から久しぶりのメッセージで何かと思えば、唐突にこんなことを言い出した。
2週間も休みを取って、ヨーロッパ!!!!!? しかも来月?????
日本人からみたら、気違いなようなことを言い出す彼女。
だが、そんなオファーに対して、自分はこう返信した。
ということで急遽、一週間の有給休暇を取ってイタリアへ。地球の裏側に住む友人達と地球を約半周した場所で待ち合わせをして、ピザとワインを片手に互いの近状報告をしてきた。
何度もいうが自分は、海外の企業で働いていること以外は、何の変哲も無いただのサラリーマンだ。
資産家でもなければ、流行りのノマドワーカーでもない。
もちろん、ブラジル人の彼女達も母国では普通の会社員。お互い、当然の権利(有給休暇)を使ってイタリアに行ってきただけなのだ。
日本で働いていた頃は、有給が取れない雰囲気が職場に漂い、長期休暇を取ってヨーロッパへの旅行など夢のまた夢だった。
世界を見渡しても、友人の出身地の南米や欧州の国々はもちろんのこと、自分が住んでいる香港、他のアジア圏を見ても、かつて住んでいたシンガポールやパートナーの出身地の中国など、有給消化は当たり前で、繁忙期を除けば基本、定時帰り。過労死などは、聞いたことがない。
翻って日本は・・・
・名ばかりの有給、育休。
・育休取得後の左遷。
・深夜までに及ぶサービス残業。
・英語単語になる程に、世界的に有名になった”Karoushi”(過労死)と”power harassment”(パワハラ)。
・・・etc
もちろん、日本は世界トップの治安の良さとインフラがあり、住みやすい国だ。
しかし、日本の労働環境だけは、他先進国と比較して最低レベルと言わざるを得ない。
なぜ、日本だけがこんなにも最悪な労働環境なのだろうか?
今回は、この異常な日本の労働環境の要因を紐解くと共に、その要因を作り出す日本人の問題点を指摘していこう。
目次
異常な日本の労働環境!そのおかしさを海外在住者が語ってみる。
引用:welove.expedia
上記の表は世界各国の有給消化率を表した表になる。
ブラジルは有給休暇が30日もあって、かつ100パーセントの消化率。同じアジアのシンガポールや香港もブラジルの半分の日数だが高い有給休暇消化率を誇っている。
翻って日本は、低い有給消化率に加えて、死者が出るほどの長時間労働だ。
その低い有給消化率の大きな要因に、「有給休暇が取りにくい雰囲気」を挙げる人も多いだろう。
周りの「雰囲気」や「空気」を行動規範する日本人に取って、「有給休暇が取りにくいという雰囲気や空気」というのは、何よりも大きな障害だ。
もちろん、これは有給に限らず、定時帰りや育休にも当てはまる。
世界から見れば、非常におかしいことだが、なぜ日本の労働環境は、こんなにも当たり前の権利が認められない雰囲気や空気が蔓延しているのだろうか?
それには日本特有の大きな3つの要因がある。
異常な日本の労働環境の要因1 世の中の変化について行けない中高年
有給や育休、定時帰りという他国から見たら、当たり前の権利が認められない異常な日本の労働環境。
その大きな要因の1つに、世の中の変化について行けず、昭和時代から頭の中をアップデート出来ていない中高年の経営層や管理職の存在がある。
高い経済成長を誇っていた頃の日本であれば、それで良かった。頑張った分だけ、会社も大きくなり給料もあがったからだ。
さらに会社に滅私奉公を誓うことで、会社は定年までの雇用を保障してくれて、退職後の生活は国が年金という形で保障してくれた。
しかし、これからの日本は、高度経済成長時代の様な大きな経済成長は見込めない。もはや、頑張った分だけ、会社も大きくなり、給料が上がるという環境は過去のものだ。
それを証明するかの様に、経団連や日本トップの時価総額を誇るトヨタまでもが・・・
さらに、国は・・・
と言い出す始末。
日本の多くの若い世代はそれを理解しており、会社に一生、滅私奉公するという考えの人は少ない。
さらに、少子高齢化や労働人口の不足という難題が迫っており、経済成長以外の部分で持続可能な社会を目指さなければならないのは、小学生でもわかることだ。
しかし、バブルで日本が「良かった頃」を経験した、日本を引っ張る立場にいる中高年達は、日本を取り巻く現状がどんなに変化しても、未だに「良かった頃」の価値観から抜け出せないでいる。
国を代表する総理大臣でさえ・・・
と言ってノスタルジーに浸っているのが、今の日本の現状なのだ。
同じような現象が、イギリスでも起こっている。
先のEU脱退を決める国民投票では、昔の大英帝国の繁栄を忘れられないシルバー世代の多くが「EU脱退」に賛成し、「EU残留」の支持層が多い若者世代を数で上回ったことが、イギリスのEU脱退の1つの要因とされている。
少子高齢化になると世の中の変化について行けず、思考がアップデート出来ていない者達の意見が多数派になる。
さらに悪いことに、年功序列が色濃く残る日本はイギリスのようなノスタルジー世代の多くが、会社の管理職以上を占めている。
そのため、日本の企業は、外部の環境が大きく変化したにも関わらず、未だに昭和のままのアップデートされない価値観や思考法でいるのだ。
もちろん、日本の中高年世代でも先進的な考え方を持っている方もいるが、ごく少数派だろう。
まさに今の日本は旧OSで、最新のCPUを使おうとしているのに等しい。だからこそ、様々な場所で不具合やエラーが起きている。
このように、昭和の時代から思考停止している中高年のマネジメントが、異常でおかしな日本の労働環境の要因を作り出しているのだ。
異常な日本の労働環境の要因2 日本人が大好きな精神論
日本では、つい最近まで「部活動中に水を飲んではいけない」とされていた。
この様な体育会系中心に蔓延する「苦労は買ってでもしろ」「苦労は美徳」という根拠のない苦行が神聖視されるところが、日本の教育界では未だに残っている。
そんな日本の教育を受けた人間が、大人になるとどうなるだろうか?
自分が日本で働いていた頃のパワハラ上司は・・・
と言って深夜までの残業を正当化していた。
「苦労は買ってでもしろ」「苦労は美徳」という価値観。
その苦労はなんのためにするのか?
これが言語化出来なければ、思考停止しているのと変わりはない。
練習は嘘をつかないって言葉があるけど、頭を使って練習しないと普通に嘘つくよ。
— ダルビッシュ有(Yu Darvish) (@faridyu) 2010年6月11日
苦労は何かを手に入れるための「手段」であって「目的」ではないはずだ。
だが、多くの日本人は「苦労」すること、そのものが目的になってしまっている。
膨大なエクセルへのデータ入力をマクロを使って、一瞬で終わらしてしまった新入社員に
と言った話は、あながち都市伝説ではないだろう。
異常な日本の労働環境の要因3 日本人が大好きな同質性
新卒で入った会社で、いつもオフィスに遅くまで残っていて、休みの日も自主的に出社して仕事をしている先輩がいた。
ただ決して仕事を楽しんでいる風には見えなかった。
この先輩は、有給休暇や定時帰りを「甘え」と考えていて、休みもほとんど取らず、苦しくてもやらなきゃという強迫観念に駆られているように見えた。
そして、何より一番厄介だったのは、その価値観を周りの後輩に押し付けてくるところがあったことだ。
このように、日本には
という、日本人にとって、ある種のマジックワードを使いながら「休むことは甘え」という価値観を周囲に押し付けているものが少なからずいる。
だが、このような「休むことは甘え」と考えている人間の心理は、有給休暇や定時帰りが会社の業績やコストに影響するなどの論理的なものではない。
この様な幼稚な感情論から来るものなのだ。
それを「人に迷惑をかけるな」や「休むことは甘え」という言葉を使って正当化しているだけの話。
「人に迷惑をかけるな」といいながら、「人に迷惑をかけまくっている」という矛盾。
昭和の時代に「一億総中流」という言葉があったように、今でも日本には「周りと同じである」ことに価値や安心を見出すものが多い。
だから、日本人は定時になっても周りの同僚が残っていたら、自分も残らなければならない気持ちになるし、誰かが1人でも先に帰れば、(たとえ本人の仕事が終わっていたとしても)それは周りに合わせられない「問題行為」として捉える。
周りと同じように振る舞うことで、社会的に評価され、周りと同じように振る舞うことができなければ、非難の対象となる。
もちろん、そこには定時で帰った人の生産性やパフォーマンスなどは一切考慮されず、「定時で帰宅」という結果に対して、「周りと違う行為をした」と見なし非難する。
「周りと同じである」ことに価値や安心を見出すが故に、
という感情が発生し、日本人同士で足を引っ張り合い、長時間労働や休みが取れない環境を作っているのだ。
日本の労働環境は終わっている。アップデートしなければ未来はない!
ここまで見てきたように、日本の異常な労働環境は、以下の3つの要因から引き起こされている。
・日本の教育で植え付けられた、苦労することを目的とした精神論。
・「周りと同じである」ことに価値や安心を見出す日本人の異常なまでの同質性。
「苦労は美徳」という価値観から・・・
同質性を好む国民性から・・・
このように「自分はこんなに苦しんでいるのだから、みんな一緒に苦しむべき」という不幸のお裾分けが、日本の最悪な労働環境を作り出しているのだ。
今後、日本は未曾有の超高齢・人口減少社会に突入していく。
2060年には総人口が9,000万人を切り、うち45%超が60歳以上の高齢者となると予想され、外に出れば、歩いている人の半分近くが60歳以上という社会が確実に訪れるのだ。
そんな中、多かれ少なかれ、海外からの若い労働者が必ず必要になってくる。
だが、日本と同時に14億人を抱える中国をはじめ、韓国、香港、シンガポールなどの近隣諸国も高齢化・人口減少社会に突入していく。
これらの国々の間で、東南アジアをはじめとした若い優秀な人材の争奪戦が起こるのは確実だ。
そんな時に今のおかしな労働環境で、彼らは日本を選んでくれるだろうか?
意味のない苦労を強いる日本の精神論を。
皆が同じじゃないと安心できない日本の同質性を。
それらを強いる日本の労働環境を。
今、日本では労働環境のアップデートが、早急に求められているのだ。
当たり前のことが当たり前の労働環境へ
1ヶ月前に急遽決定し、地球の裏側に住む友人と出かけたイタリア旅行。日本にいたら、このようなことは絶対出来なかっただろう。
そもそも、海外旅行ですら世界の一部の裕福な国の人々しかできない。飛行機にすら乗ることなく人生を終える人だって大勢いる。
日本は、そんな裕福な恵まれた国の一つだ。
しかし、今の日本人にはお金はあっても時間がない。
時間がなければ、心に余裕がなくなる。
働いてお金があっても心に余裕がなければ本末転倒だ。
労働人口が減っている今の日本だからこそ、「どうすればお金を作れるか」ではなく「どうすれば時間を作れるか」という視点に立って、物事を考えなければならない時だろう。
ヨーロッパや南米、アジアをはじめとした多くの国々の様に、日本も当たり前のことが当たり前の環境になる。
その当たり前の有給を使った長期休暇で、地球の裏側に住む友人と地球を半周したところで待ち合わせをして、一緒に旅をする。
こんな人生、とても素敵じゃないだろうか?
悪くない話です。ただひとつだけ異を唱えるなら考えが変わらないんじゃないんです。それが正しいと教えられて生きているのが大多数です。出なければなんでみんなそろってコンプライアンス順守のために同意のない有休消化や葬儀の日に退職届を遺族に書かせる…おかしいとするなら出ていけとなるのが日本の本質かも知れません。
有給取るにも理由が要るのが問題だし、古い考え方で手作業が良くで機械化は悪みたいなのが非効率で要らない。働くために生きるとかあたおかだと思う
日本オワコンと言われて何十年かしらんが
日本の若者は皆んな海外で働くのが当たり前に成りつつある
日本なんか日本人からしても価値も魅力もない衰退国
日本の労働環境は異常
まあ宗教国家だから仕方ない
生きるために働いているのであって働く為に生きてはいない。給料もたいしてだしていない癖に完璧を求めるな