先日、サントリーの新浪氏が「45歳定年制度」の導入を訴えて、様々な媒体で炎上した。
本人の意図は、人材の流動化を狙ったものだと思うが、「年齢」という物差しで語ったことで、多くの人が反発した結果となった。
そもそも45歳という根拠が不明だし、経営者がこのような発言をしてしまうと・・・
という本音が隠れていると受け取られても無理はない。
配慮が足りなかったと言えるだろう。
しかしながら、新浪氏だけではない。
海外で暮らしていると、日本人の中には、無意識な年齢による偏見や差別というもの潜在していると多々感じることがある。
このように日本人は年齢を気にして、年齢によって物事や人をジャッジしようとする傾向が非常に強い。
それは何故なのだろうか?
そこで今回は、この日本人の年齢気にしすぎ問題について語っていこう。
目次
日本人の根底にある年齢による差別や偏見
日本人は、相手や自分の年齢を非常に気にする傾向がある。
その最たる負の側面は、新浪氏が「45歳定年説」を唱えたように、無意識な年齢による偏見や差別だろう。
例えば、日本の就職活動。
応募資格に年齢上限が設けられていることや転職35歳限界説に代表されるように、その人の能力ではなく「年齢」が採用の可否に与える影響は強い。
このような就職における年齢差別は、世界的に見て違法行為・人権侵害だと理解されている。
例えば、アメリカやカナダ、EU加盟国、韓国などでは履歴書で年齢等の個人的属性を問うこと自体が差別とされ、法律で禁止されている。
しかしながら、日本の企業では、あの夢の国を運営する会社でさえ、
というパワハラがあったように、差別意識が皆無だ。
一応、日本でも雇用対策法で「年齢制限」を禁止にしてはいるが、日本の企業が守るわけがない。
このような年齢差別は、企業だけではない。
大学入試でも、複数の大学で浪人生を意図的に減点していたことが明るみになっている。
このように、日本では国の根幹を成す企業や教育機関が、堂々と年齢による偏見や差別を行っているのだ。
海外では年齢を気にしない?
年齢による偏見や差別が蔓延している日本。
では、海外はどうだろうか?
以前、アメリカのスーパーマーケットを訪れた時のことだ。
買い物を終えて、会計に向かうとレジを担当していたのは、初老の男性。
彼はお釣りを数えるのにも戸惑っていて、他のスタッフと比較すると動作が圧倒的に遅かった。
それを怪訝な表情で見ていた自分に、近くにいた若い女性スタッフが・・・
と声をかけてきたのだ。
年齢によって、「新人」「ベテラン」とカテゴライズする日本に対して、初老の男性にも「新人」という言葉を使うアメリカ社会。
またアメリカは、就職面接の時の履歴書に「年齢」を記載しないのは、日本でも有名な話だ。
一方、ここ香港でも「年齢」に関して、似たような経験をした。
自分は、毎年、仲の良い香港に住む友人達に誕生日を祝ってもらっている。
誕生会で、日本人なら普通・・・
といった質問が必ず飛んでくる。
しかしながら、香港では、誕生日を祝われるときでさえも、未だに年齢を聞かれたことがないのだ。
そのため、自分も彼らの年齢を知らない。
そもそも彼らは年齢というものに、あまり興味がないのだろう。
また、ある香港人の友人とバーで飲んでいた時のことだ。
その友人が・・・
と言ってきたので、快諾。
彼の友達ということで、てっきり同世代くらいの人が来ると思っていたが、なんとやって来たのは、少なくとも10歳~20歳程、年上の男性だった。
自分より10歳以上の年上の人を「友達」と呼ぶ香港人。
学校や職場などで、年齢が違ってもファースト・ネームで呼び合う関係も影響しているのだろうが、日本ではあまり見られない光景だった。
日本に住んだことのあるアラフォーのカナダ人が、今、シェアハウスに住んでいて、
🇨🇦「色々な人と会えてめっちゃ面白い!」
🇯🇵「でも20代が多いでしょ?20代のグループに入っていくの大変じゃない?」
🇨🇦「うわっ!めちゃ日本人的発想ww」
と言われて、年齢でグループ分けした自分に恥じている。
— Johnny@🇭🇰に出稼ぎ中 (@ucango_anywhere) June 23, 2019
なぜ、日本人は年齢を気にするのか?
では、なぜ日本人はここまで年齢を気にするのだろうか?
その理由は2つある。
2.年相応を求められる同調圧力が存在するため
言い換えると、1は円滑な人間関係のため。2は相手をどのような人間かジャッジするためと言える。
2つの理由の詳細をそれぞれ見ていこう。
円滑な人間関係のための敬語
海外にも敬語はあるが、日本語ほど厳格なものは少ない。
日本語の敬語は、8世紀にはその存在が確認されており、古代の身分制社会における上下関係が起源とされる。
そこから派生して、現在の日本では、相手の年齢で言葉を使い分ける文化(敬語の有無)が存在する。
だから、相手の年齢を聞くことで、どのような話しかけ方が適切なのかを知る目的があるのだ。
日本人にとって、相手の年齢を知ることは、円滑な人間関係のための手段と言える。
海外の年齢に捕らわれず、フランクに接し合う文化も良いが、日本の年長者を敬う文化も否定されるべきものではないだろう。
日本人が年齢を気にする理由。
その理由の1つは、年長者を敬い、円滑な人間関係を築くためなのだ。
年相応を求められる同調圧力
ただ、この敬語の存在だけでは、日本人の年齢による偏見や差別を説明できない。
日本人が年齢を気にするもう1つの理由。
それは、年相応を求められる同調圧力だ。
多くの日本人の中には・・・
という宗教に近い確固たる信念がある。
教育者である学校の教師が・・・
と地毛の色に関わらず、黒染めを強要するニュースが度々流れているのが、その大きな証拠だろう。
同じように、日本人の「画一性」を求める宗教は、ライフスタイルにも現れる。
本来、結婚も子供を産むのも選択であるべきだ。
大学も18歳で、親のカネで入学するのではなく、学びたい時に学ぶべき場所でなければならない。
18歳で大学に入学することを評価するこの国のシステムが、日本人の人生観の多様性を奪っているのに、誰も気がつかない。。。
「現役と1浪に加点」で謝罪 昭和大学長ら会見(フジテレビ系(FNN)) – Yahoo!ニュース https://t.co/BZLoNypc1m @YahooNewsTopics
— Johnny@🇭🇰に出稼ぎ中 (@ucango_anywhere) October 15, 2018
しかしながら、日本人の「みんなが同じであるべき」という宗教観がそれを許さない。
だからこそ、公平性が求められる大学入試で、18歳で入学することが当たり前となり、それ以外は減点という考え方になるのだ。
🇨🇳の彼女が23歳で大学に再入学した。やりたいことがあるんだって。
🇯🇵だったら、5浪とか言われるのかな。
自分も訳あって、🇯🇵の大学に3浪して入ったけど、世間は冷たかった。
挑戦したい時に、周りが受け入れてくれる文化が少し羨ましい。
— Johnny@世界のどっか (@ucango_anywhere) 2019年4月5日
と言った言葉は、そんな日本の異常なまでに「画一性」を求める宗教観をよく表した言葉だろう。
年齢で可能性を閉ざす日本社会
10代で妊娠すれば・・・
30代で子供がいなければ・・・
このように年齢によって、細かくライフスタイルを強要される国・日本。
確かに、年齢によって細かくライフスタイルを強要すれば、相手と深いコミュニケーションを取らなくても、相手のことがわかった気になるし、とても楽だ。
しかし、それは相手のことをよく見ない怠慢な思考方法だ。
日本では「アラサー」や「アラフォー」といった年齢に関する言葉が流行し、女性の結婚年齢を揶揄した表現も枚挙にいとまがない。
相手の年齢で、相手を型にはめ分かった気になっていることが、「日本人はコミュニケーションが苦手」と言われる原因だろう。
今後、日本は未曽有の高齢化社会に突入する。労働力人口の減少で、外国人移民もますます増えてくる。
そのような日本で、年齢差別や年齢によって生き方を強要する社会は、持続不可能だ。
海外の多くの国の様に、年齢に捕られないフランクな文化を真似しろとは言わない。
しかしながら、年長者を敬い、子供に優しい文化を残しつつも、年齢によって生き方を強要される社会は是正されるべきだろう。
人の目を気にしてマスクを外せない日本人 いかに同調圧力がつよい社会かを物語っている 決して人に対する思いやりからではない
何故マスクをするか?
不細工な顔を隠せるから
これを読んで心が楽になりました。
世界で一番生き辛い国
テレビを見れば、出演者の名前の横に年齢が表示される国ですから。。
更に違和感を覚えたのは、観光地のレンタサイクルを事前予約する時、カードを使うわけでもないのに生年月日をフォームに入力させられたこと。
マスクをするのは単純にコロナを移されたくないから
同調圧力だけの問題じゃない
横からですが僕もずっとそれ感じていました。
田中さん(45歳)とか年齢表示する必要まったくないですよね。
海外のメディアはどんな感じなのでしょうね。
このコメント欄にも、誹謗中傷めいた同調圧力があるんだ。
悲しいなあ。