自分の知り合いに、カナダとオーストラリアに数年間、ワーホリをしていた人がいる。
彼女はいつも二言目には・・・
と言ったセリフを吐き、ネイティブの発音や言い回しが絶対的だと信じているネイティブ信者だ。
皆さんの周りにも、このような人間が1人はいるのではないだろうか?
インターネットや本でも「ネイティブはこう言う」といったネイティブの発音や言い回しが、あたかも正義かの様な考えも散見される。
そこで、今回は、海外在住者の視点から、この様な英語ネイティブ信者が如何に盲目的で愚かな存在であるかを語っていこうと思う。
海外に英語ネイティブ信者はいない?
ここ香港では様々な外国人が暮らしている。
自分の周囲の友人も様々な国の出身者がいて、そのコミュニケーション方法の多くは英語になる。
もちろん、彼らは英語圏以外の出身も多く、その英語には独特の訛りが存在する。
個人的な感想だが、特にイタリア、スペイン、ロシア、インド、ブラジル、韓国の出身の友人達は訛りが独特で、もう聞いただけでどこの国の訛りかわかるくらいになってしまった。
例えばイタリア出身の友人は、「H」を発音しない傾向があり、「Happy」のことを
と言ったり、同じようにブラジル出身の友人は「R」を「H」の様に発音するので、有名なサッカー選手・クリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)を
と言ったりするのだ。
そして、そんな独特な英語を話す彼らには、2つの共通点がある。
それは、自分たちの訛(なま)りを気にせず、堂々と英語を話していること。
もう1つは「ネイティブはこう言う」といった野暮なことは言わないことだ。
日本が誇るあの国民的RPG・ドラゴンクエストも英語版を海外に発売するにあたって、様々な「訛り」を取り入れている。
例えば、ドラクエVに登場するビアンカは英国の地方の訛り、サンチョはスペイン訛り、ルドマンはイタリア訛り等、登場するキャラクターによって様々な「訛り」を持たせて、キャラを際立たせているのだ。
日本の英語教育でもグローバルな視点をふまえ、各国の訛りを学ぶような所も徐々に増えている。
このように世界では、非ネイティブ英語がマジョリティ(多数派)と考えられ、マーケティングや教育でも取り入れられているのだ。
各国の訛りを短所として捉えるのではなく、個性として捉える。
英語の多様化。それが今の世界の流れだ。
だからこそ・・・
とドヤ顔で言っている人間は、時代錯誤も甚だしいのだ。
英語ネイティブ信者はただの欧米信者
以前、シンガポール在住の駐妻がネットでこのような発言をしていた。
じゃあ・・・
とツッコミたくなるような発言だが、このように日本人には、ネイティブの発音や言い回しが、あたかも絶対的に正しく、その他の訛りのある英語は偽物のように考えるネイティブ信者がとても多い。
では、何故日本人のネイティブ信者はそのように考えるのか?
これには日本人の中にある「欧米信仰」が深く関わっていると感じる。
日本人の中に確かに存在する欧米信仰
自分が日本で働いていた頃の話だが、どんなに繁忙期でも必ず定時で帰宅するエストニア出身の白人の同僚がいた。
彼が定時で帰宅しても、日本人の上司や同僚達は・・・
という雰囲気になる。
しかし、同じことを東南アジアやインド出身の同僚がするとどうなるだろうか?
日本人からの評価が・・・
となるのだ。
日本人なら認めたくない事実だと思うが、日本人の中に無意識の欧米人への憧れと他の人種への優越感が確かに存在する。
以前の海外での写真のポーズ事情「ピースするのは日本人だけ」な訳がない!にも書いたが、日本では「写真の時にピースをするのは日本人だけ」と言われる。
しかし、実際はアメリカや西欧諸国を除き、多くの地域で写真時にピースサインは使われているのだ。
では、なぜ「ピースをするのは日本人だけ」と言われているのか?
それは日本人にとって、「海外」というのは欧米だけを指し、その他の地域は存在しないに等しいからだ。
だからこそ、写真を撮る時に「アメリカや西欧諸国はピースをしない」→「海外ではピースをしない」→「ピースをするのは日本人だけ」という論理がまかり通る。
この様に、日本には他の国にはない異常なまでの「欧米信仰」が確実に存在しているのだ。
非英語ネイティブのアイデンティティを尊重しないネイティブ信者達
日本人の中に確かに存在する「欧米信仰」。
だからこそ、日常的に英語が話されているにも関わらず、シングリッシュやインド英語、香港英語、フィリピン英語は、日本人のネイティブ信者から見れば「偽物」に映る。
欧米、もっと言えば白人の話す英語。これこそが絶対的に正しい。
そう言ったネイティブ信者が作り出す雰囲気が、
と言った日本人の英語コンプレックスを生み出し、アジア圏の英語は「偽物」と言った意識を作り出す。
また、こういった非英語ネイティブによるネイティブ信仰が、英語ネイティブを傲慢にしてしまう原因にもなっている。
2018年のミス・ユニバース世界大会で、アメリカ代表の女性が・・・
とあたかもネイティブ英語を話せるのが絶対的に正しくて、他の英語や文化を見下す発言をインスタグラムに投稿した。
この動画はすぐさま拡散され、世界中で炎上し、ミス米国代表は謝罪に追い込まれたのだ。
日本にいるネイティブ信者も、本質的にはこのミス米国代表と変わらない。
ネイティブ英語が絶対的に正しくて、それ以外の英語は格下。
どこの国で話されている特徴ある英語も長い時間をかけて作られた文化の1つだ。
「ネイティブ英語を話せるのが正しい」と考える人間は、他のアイデンティティや文化を尊重せず、白人文化を押し付けるレイシストとも言えるだろう。
お笑いコンビ・ダウンタウンや明石家さんまなど、どんな場面でも関西弁を使う芸能人は多い。
彼らに対して・・・
なんてアホなことを言う人はいない。
それは関西弁が、言語の中のいち方言と認められているからだ。
21世紀の英語でも、英語の多様化という流れの中で、まったく同じことが起きている。
それを認めないネイティブ信者は、ある種アイデンティティを打ちこわしに行くような危険な思想の持ち主とも言えるのだ。
ネイティブのサル真似より、英語を使って何が出来るかの方が重要
冒頭のカナダとオーストラリアにワーホリをしていた
が口癖の知人は、日本に帰国後、何をしていると思うだろうか?
実は、アルバイトをしながら、職を転々としている。
ワーホリ中は、ネイティブの英語を学ぶ(真似ぶ)のが目的となって、「英語を使って何をするか」という将来まで描けていなかったからだ。
英語はあくまでも「手段」だ。
相手に伝われば、発音や言い回しはそれほど重要ではない。
もちろん、相手が聞きやすい様に「R」と「L」の使い訳など、最低限の勉強は必要だ。
だから言って、アクセントや言い回しをすべてネイティブの真似をする必要はない。
ビジネスで英語を使ってグローバルで仕事をしている人なら、皆、わかっていることだ。
もし、
という人と出会ったら、
と思って構わないのではないだろうか。
発音をからかわれても僕が話し続ける理由
英語の三通りの話し方
いや別に職を転々としてるのは良くないすか…