最近、Netflixのドラマ「ラブ・イズ・ブラインドJAPAN」を見る機会があった。
相手の顔を見ることなく、声だけで恋愛・結婚が出来るかと言うテーマの恋愛リアリティー番組だ。
普段、こういった恋愛リアリティー番組は見ないのだが、これが思いの他、面白かった。
「あいのり」、「テラスハウス」、「バーチェラ・ジャパン」。
今まで、恋愛リアリティー番組は数多くあったが、相手の外見ではなく、中身だけで判断し、恋愛していくのは、この「ラブ・イズ・ブラインドJAPAN」が初めての試みだと思う。
そして、この番組を最後まで見て、抱いた感想は、身も蓋もないが、やはり・・・
というものだった。。。
結局、よく語られる「外見より中身が大事」と言うのは成り立たないと感じたのだ。
そこで今回は「外見より中身が大事」というのが、如何に綺麗ごとかについて語っていこう。
「外見より中身が大事」は綺麗ごと
このドラマ「ラブ・イズ・ブラインドJAPAN」は、薄い壁で区切られた部屋の中で、壁越しに男女がお互いを語り合い、相手のことが気に入れば、プロポーズをし、婚約成立となるルールとなっている。
そして、婚約成立となった後に、初めて相手と顔を合わせるのだ。
つまり、顔が見えない相手に、会話から相手の人となりを判断し、プロポーズしなければならない。
このドラマでプロポーズをして、婚約したカップルは全部で8組。
そこから、顔合わせの後、30日間お互い生活を共にし、その後、結婚式という段取りになる。
このドラマの一番の醍醐味は、顔合わせの後、お互いの外見を知った後のそれぞれのカップルの態度の変化だ。
顔が見えない間は、相思相愛だったが、相手の外見を知った途端に、明らかに冷めているカップル。
最初は女性側が相手にぞっこんだったのに、顔合わせが終わった途端に、男女の熱が逆転するカップル。
等々、多くのカップルが、お互いの顔を見る前と後では、その関係に変化があったのだ。
これは、顔が見えない分、相手への外見の期待値が上がることを示している。
そして顔を見た瞬間、その膨れ上がった期待値を超えられず、期待値との落差から滲み出るがっかり感。
このドラマでプロポーズをして、婚約したカップルは全部で8組。
しかし、実際、本当に結婚まで至ったカップルはたった2組だけ。
残りの6組は、顔合わせ直後から関係性が変わり、結局ご破綻となっているのだ。
と多くの人は言う。
しかし、この「ラブ・イズ・ブラインドJAPAN」は、それが如何に綺麗ごとかを検証する、実験的な恋愛番組だったと言えるだろう。
顔が見えない恋愛の大きなリスク
よく合コンで、
と憤っている女子を見聞きした人は、多いのではないだろうか?
このセリフの心は、「自分の期待に見合う相手」がいなかったということだ。
まだ見ぬ合コン相手に、勝手に期待して、会ってから勝手にがっかりする。
至極自分勝手な様だが、人間は相手の見えない部分に、自分の理想を勝手に当てはめる傾向がある。
これは、心理学で「確証バイアス」と言われている。
わかりやすいのが、マスクだ。
コロナ禍でみんながマスクをするようになったが、ここ香港では、マスクをするようになって、香港女子が可愛くなったと言われている。
それは顔の見えない部分に、自分の勝手な理想(鼻が高い・口が小さい etc)を当てはめているからなのだ。
同じように、今、日本で社会人女性の私生活を披露する動画が、Youtubeで人気となっている。
彼女達の動画に共通するのは、顔出しをしていないことだ。
動画には「顔から下」または「後ろ姿」しか出てこない。
にも関わらず、中には、登録者数が数十万を越えるの女性も存在するのだ。
そして、それらの動画のコメントには、共通して下記のような男のコメントで溢れている。
合コンで相手の顔面に勝手に期待している女子のごとく、自分の理想を押し付ける男達。
つまり、男女に関わらず、人間は相手の見えない部分に、自分の理想を勝手に当てはめるのだ。
裏を返せば、恋愛において「自分の外見を相手に想像させる」という機会を与えるということは、自殺行為に等しい。
顔が見えないということは、それだけ相手の期待値が高まり、顔を知った時のがっかり感が大きくなる可能性があるからだ。
それだけ顔が見えない恋愛というのは、大きなリスクを孕んでいるのだ。
外見を知ってこその中身
昨今、アプリを介した出会いが増加している。
そして、今後はメタバースなどの仮想空間で、アバターを介しての恋愛も増えていくだろう。
アプリとメタバース、両者の共通点は相手の顔が見えないという点だ。
アプリでは、写真を掲載している場合もあるが、その写真自体が加工されており、
というケースも多い。
アプリとメタバースなどの普及により、お互いの顔を知る前に、恋愛をすることは、これからますます増えていくだろう。
「ラブ・イズ・ブラインドJAPAN」からもわかるように、顔が見えない恋愛で大事なのは「如何に相手の期待値をあげないか」。
これに尽きる。
加工写真やイケメン・美女のアバターを使って、「自分の外見を相手に期待させる」ということは、それだけ会った時の「がっかり感」は強い。
事実、自分の知り合いの婚活女子も写真を常に(体重が半分くらいになるように)加工しており、婚活も連戦連敗だ。
人は、どうしても「自分を良く見せたい」という心理がある。
それと同時に、わからないことに対して、自分の都合のいいように解釈してしまう。
大事なのは「相手に期待させない」こと。
それと同時に「相手(の外見)に過度な期待をしないこと」。
「ラブ・イズ・ブラインドJAPAN」では、顔が見ない時に膨れ上がった期待値の壁を超えられず、脱落するカップルが続出した。
それだけ、顔の見えない恋愛は成立が難しい。
「外見より中身が大事」なのは確かだ。
ただ、お互いの顔が見えない恋愛では、お互いの相手に対する「期待値」が上がってしまう。
だからこそ、顔を合わせたface to faceの恋愛が最も王道で、今先の未来、どんなに技術が進歩しても、それは変わらないだろう。
「外見より中身が大事」というのは、お互いの顔を知っている上で、初めて成り立つ公式だ。
そういう意味では、やはり「外見より中身が大事」は綺麗ごとなのだ。
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