昨今、世界のどこにいても、「Z世代」という言葉をよく耳にする。
これは1995年~2010年の間に生まれた世代を指した言葉だが、自分の妻(97年生まれ)や弟(2000年生まれ)もこの「Z世代」にあたる。
また、自分はサラリーマンを辞めて、バックパッカーとして世界を2年間旅した経験から、世界中に多くの「Z世代」の友人がいる。
そんな「Z世代」と日頃接していると、世界共通で、上の他のどの世代とも違う性格や特徴を持っていると感じるのだ。
では、その「Z世代」の性格や特徴とは何か?
そこで今回は、Y世代(ミレニアル世代:80年代~90年代前半生まれ)の自分から見た、今、世界で注目されている「Z世代」共通の性格や特徴について解説していこう。
目次
Z世代は何故”Z”と呼ばれる?
そもそも、なぜ95年以降の生まれの若者たちは、「Z世代」と呼ばれるのか?
その由来は、アメリカにある。
アメリカではもともと、1965~80年頃に生まれた世代を「X世代(英名:Generation X)」と呼んでいた。
その後、インターネットが普及した環境で育った最初の世代で、2000年代に成人なる人達が、アルファベット順でXの次がYであることから、「Y世代」と呼ばれるようになる。
そして2018年、世界の人々の問題意識や意見、傾向に関する調査を行うシンクタンク・ピュー研究所(Pew Research Center)が、「Y世代」と「次の世代」の切り分けの必要性を感じ、名付けられたのが「Z世代」となるのだ。
Y世代 = 1980~95年頃の生まれ
Z世代 = 1995~2010年頃の生まれ
参考文献:Defining generations: Where Millennials end and Generation Z begins
世界のZ世代の性格や特徴とは?
全世界でみると「Z世代」は、全人口の約24%。その上の「Y世代」の22%を超え、世界の1/4を占める世代となる。
まさに、これからの世界の消費やトレンドを牽引していく世代なのだ。
今後、多くの企業が、この「Z世代」を狙いを定め、商品開発やサービスを行っていくことになるだろう。
つまり、多くの人にとって「Z世代」の特徴や価値観、行動パターンを理解するのは必須となっていく。
では、95年以降に生まれた、この「Z世代」とは、どのような性格や特徴を持っているのだろうか?
次から、この「Z世代」の6つの性格や特徴を紹介していこう。
1 デジタルネイティブ
「Z世代」の最大の特徴は、やはり物心がついた時から、インターネットが当たり前にあった環境で育っていることが挙げられる。
「Z世代」は初めて買ってもらった携帯電話がスマホで、ガラケーを触ったことすらない人達も多い。
もちろん、友達に連絡するのに、緊張しながら相手の家の電話にかけた経験もないし、好きな人からメールが来ていないか、センターに問い合わせた経験もない。
小さい頃から、夏休みの宿題や調べ物は、図書館に行くのではなく、GoogleやAlexaがパートナーだ。
前を歩く小学生が「後でLINEする!」と言っていて自分が小学生の頃は相手の固定電話に「〇〇君のお家ですか?あっはい、〇〇君はいますか?」と電話していたのに……と思った。
— よしるジャパン (@YOSHIRU_jp) July 19, 2017
台所でお湯を沸かしながら、リビングで休憩してた妻。
妻「台所の電気消してくれる?」
電気の灯りを消すと・・・
妻「違う!お湯の電気!」
IHコンロで育って来た妻。
ガスコンロで育って来た自分。「火を消す」と言う表現を使わないところに育ちと世代間ギャップを感じざるを得ない。。。
— Johnny@🇭🇰に出稼ぎ中 (@ucango_anywhere) December 10, 2020
「Z世代」は、インターネットと共に育った最初の世代。
それゆえ、今までの他の世代と価値観や思考法、行動原理が大きく違うのだ。
2 効率重視
物心ついた時からスマホがあり、調べものはGoogle検索で行ってきた世代。
そのため、他のどの世代よりも「効率」を重視する。
さして興味のない映画やドラマは、倍速再生で視聴し、料理も試行錯誤するよりも、クックパッドなどの料理アプリを多用。
そんな「Z世代」なので、時間の融通や視聴スピードも調整出来ないテレビは嫌煙される傾向にある。
娘(5歳):パパ、テレビ止めて!もう一回観たい!俺:YouTubeじゃないから止められないの 娘:なんで?…じゃ、ねこちゃんが観たい!俺:テレビは検索できないの 娘:意味わかんない!……みなさま、これが本当のデジタルネイティブです
— 鈴木菜央|グリーンズ代表 (@suzukinao) November 14, 2009
また恋愛でもその傾向は顕著で、効率よく相手を探せるデートアプリが人気だ。
デートアプリを代表するティンダーも、地域によっては「Z世代」のユーザーが、全会員の50%を占めるという。
「Y世代」以上では、「ネットでの出会い」は恥ずかしいというイメージに対して、「Z世代」では、カップルが生まれる最も一般的な方法になるのだ。
3 ネットリテラシーが高い
義務教育の中で、ネットリテラシーやSNSの使い方に関する教育を受けた世代であるため、SNSなどのプライバシー保護への意識が他の世代と比較して高い。
Facebookなどの実名登録のSNSは好まれず、Instagramでも友人のみに公開する鍵垢が一番多い世代だ。
また各SNSで、コミュニティによって複数のアカウントを使いこなし、キャラを使い分けることも多い。
その反面、SNSのフォロワーの数が人気の証と考えている人間も多く、注目を集めるために、アルバイト先で非常識な行動をする「バカッター」が多いのも大きな特徴である。
4 自己表現が上手い
多感な10代の頃から、TicTokやInstagramなどのSNSを使っている「Z世代」は、自分の気持ちを表現することに抵抗がない。
ミレニアム世代までは、上司から飲みに誘われたら・・・
としばし自分を押し殺して、「おじさんのご機嫌取り」に参加するが、「Z世代」は・・・
と躊躇なく言える人が多い。
会社を選ぶ傾向も給与やブランドよりも、自分の時間を確保出来るかどうかを重要視する傾向がある。
「やりがい」を盾に長時間労働を強いてきた日本の企業も、考え方を変えなければ、「Z世代」には、見向きもされなくなるだろう。
5 環境問題への意識が高い
Z世代は、気候変動や格差などの社会問題への意識も高い。
日本に先駆けて、欧米・アジアの先進各国のスタバやマクドナルドなどの有名チェーン店は、プラスチックのストローから紙ストローへ切り替えている。
またレジ袋は有料になり、環境負荷の高い従来の肉に代わり、植物肉が売れていく。
そんな世界のムーブメントの中心にいるのが、この「Z世代」だ。
2019年、中国のEC大手アリババの「T-mall」で、植物肉の販売を開始すると2日間で4,000個が完売。
その消費者の多くが、「Z世代」だという。
また、ここ香港では、30年前の若者のトレンドは「タバコ、フカヒレ、毛皮」と言われていた。
タバコを吸うことがクールで、高額なフカヒレや毛皮ついた高級ブランド服が憧れの対象だったのだ。
しかし、現在の若者のトレンドは「ヨガ、アボカド、電気自動車」と言われている。
地球環境に優しく、カラダにも良いことがクールとされるのだ。
「Y世代」以上からすると、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(2003年生まれ)は異端な存在の様に映るだろう。
”Our relationship with nature is broken. But relationships can change. When we protect nature – we are nature protecting itself.”
Thank you @MercyForAnimals for sponsoring this film by @tommustill and me.#ForNature #BiodiversityDay pic.twitter.com/2tXPFaeqWq
— Greta Thunberg (@GretaThunberg) May 22, 2021
しかし、「Z世代」から見れば、そんなことはない。
彼女は「Z世代」の代弁者のような存在に見えるのだ。
6 多様性を受け入れ、平等を求める
SNSなどを通して海外と繋がれるのが、当たり前な世代であった「Z世代」。
多感な時期から、異文化コミュニケーションを育んで来たため、人種・性的マイノリティなどに寛大な人がもっとも多い世代でもある。
「Z世代」は最も多様性(ダイバーシティ)を許容できる世代。裏を返せば、「平等」を強く求める世代とも言える。
2020年の米大統領選では、多くの「Z世代」が、
こういった考えを掲げ、分断を煽り、排他的白人至上主義である共和党のドナルド・トランプに「No」を突き付け、民主党のジョー・バイデンを熱烈に支持した。
また、ここ香港で起きた、民主化要求デモ「雨傘運動」。中国共産党の一党独裁に「No」を突き付け、その中心となったのは、周庭(アグネス・チョウ 96年生まれ)や黄之鋒(96年生まれ)などの「Z世代」だ。
去年の6月9日に、100万人以上の香港人が逃亡犯条例に反対する為に立ち上がりました。
香港の民主化運動はまだ成功していません。まだまだ頑張らないと。 pic.twitter.com/Tx1JSWKz1b
— Agnes Chow 周庭 (@chowtingagnes) June 9, 2020
16年のイギリスのEU脱退の投票でも、「Z世代」の特徴が良く見てとれる。
イギリスのEUを脱退するか否かの国民投票において、シルバー世代はこの国の繁栄を身を持って体験しているため・・・
と60%が離脱に投票した。
一方、当時の「Z世代」(18~21歳)は・・・
と73%が残留を支持。
このようにZ世代は、「権利があるかないか」という対立論ではなく、マイノリティを含めて、権利はすべての人に平等に与えられて当然と考えている。
と言う発想が根本にあり、世界を良くするためなら自身と違う国、文化、世代などと協力していくことも厭わない世代なのだ。
日本のZ世代の性格や特徴は?世界とどう違う?
世界中で存在感が増している「Z世代」。
その性格や特徴は・・・
2.効率重視
3.ネットリテラシーが高い
4.自己表現が上手い
5.環境問題への意識が高い
6.多様性を受け入れ、平等を求める
日本の「Z世代」の性格や特徴も、世界の「Z世代」と大きく違いはない。
しかしながら、日本と世界では、「Z世代」の置かれている状況は大きく違う。
先に述べたように全世界の人口のうち「Z世代」は24%。先進国のアメリカでも「Z世代」は20%を占める。
しかしながら、日本の「Z世代」は、日本の全人口のうち、たったの13%しかない。
つまり、世界の「Z世代」は、今後、「自分たちの声が国を動かす」と考えているに対して、日本の「Z世代」の声は小さく、上の世代にかき消されてしまうのだ。
先に紹介したイギリスのEU脱退の投票では、当時、投票権を持つ「Z世代」は少なく、結果、シルバー世代の投票結果が大きな影響を持ち、イギリスはEUから脱退することになった。
しかし、皮肉なことに、この決定に向き合って行くのは、シルバー世代ではなく若者世代である「Z世代」だ。
このイギリスの状況は、そっくりそのまま現在の日本にも当てはまる。
日本のシルバー世代は、その人口比率から選挙で大きな影響力を持つ。
しかし、シルバー世代の民意を大きく反映した政策に対して、向き合って行かなければいけないのは、日本の将来を担う「Z世代」だ。
だからこそ、日本の上の世代も、常に自分の考えや価値観が時代に即しているのかと自問し、ただ単に「Z世代」を
と笑って終わりにするのではなく、自身をアップデートする必要があるのだ。
コメントを残す