以前、フィリピンのとあるリゾート地を訪れた時のことだ。
ホテルをチェックインしようとレセプションへ行くと、聞き覚えのある言葉の怒号が聞こえてくる。
そこには日本人と見られる中高年のオジサンが、現地のスタッフに日本語でキレて罵声を浴びせていた。
日本語を喋れる現地スタッフが平謝りをしていたが、この老害と言っても差し支えない、日本のオジサンは、アジアの至る所で見ることができる。
相手の文化を尊重せず、日本のサービスやクオリティーを求め、納得いかなければ大声でキレる。(もちろん日本語で)
欧米の国々では大人しくしているが、相手がアジアの国々だと途端に態度がデカくなる。
実は、これが海外でよく見られる日本のオジサンの実態なのだ。
今回は、日本のメディアが語ろうとしない、日本のオジサンがどうして老害と呼ばれ、そして海外でどう見られているかについて語ろうと思う。
なぜ日本のオジサンは老害になってしまうのか?
自分がサラリーマンを辞めて、世界の国々を周っていた時、様々なバックグランドを持った人との出会いがあった。
国、文化、宗教、年齢。様々な「違い」を持った人たちとの交流は、今でも自分の人生に大きな影響を及ぼしている。
しかし、その中で相入れることが出来なかった「違い」をもった存在がいた。
それが日本の中高年のオジサン達だ。
自分より若い日本の旅行者を捕まえては、自分の武勇伝や自慢話を披露する。
さらには相手が自分の価値観に合わなければ、「ありがたいお説教」までする中高年もいる。
バックパックで世界を旅行したことのある人なら、一度は経験したことがあるはずだ。
今の若い世代に比べて、日本の中高年達は英語が話せる人も少ないので、海外に出ても話相手が日本人しかいない。
そのため、おとなしく自分の自慢話を聞いてくれる日本人の若者がターゲットにされてしまうのだ。
国、文化、宗教、年齢。様々な「違い」の中で一番乗り越えるのが困難だった壁が「同じ国の世代間の壁」とはなんという皮肉だろう。
では、なぜこの様に、公の場でも上から目線で物事を語るオジサンが多いのだろうか?
その原因は、日本の会社の中の年功序列制度にある。
多くの日本の会社は未だに年功序列で、年上の方が能力の有無に関わらず、無条件にエラいという雰囲気がある。
会社で若い部下達が自分の言うことを聞くので、公の場でも無条件に
からの
と勘違いしてしまうのだ。
駅で電車の遅延や運転見合わせで大声で駅員さんに怒鳴っているのも、飲食店で「お客様は神様だ」と言わんばかりの態度を取っているのも中高年のオジサンが圧倒的に多い。
彼らの頭の中では、公の場でも「会社でエラい=俺はエラい」という方程式が出来上がっている。
年上を敬う文化は素晴らしいが、マナーが悪い勘違い中高年達、つまり老害を量産しているのは、間違いなくこの年功序列制度なのだ。
キレるオジサンは日本の恥
この様に「俺はエラい」と勘違いしているオジサン達が海外に行くとどうなるか?
冒頭の様に、他の国に言っても「俺はエラい」という態度で、傍若無人な振る舞いをするのだ。
特に東南アジアで、このようなマナーが悪い日本人中高年オジサン達が頻繁に見られる。
上から目線で現地の人々にあたり、日本並みのサービスとクオリティを求め、叶わなかったらキレる。
金にものを言わせて、現地の若い女の子を買い漁り、悦に浸る。
現地の人に対して、リスペクトやマナーのかけらもない。
体格がよく自己主張に慣れた欧米人相手では、このようなことは絶対しないが、大人しく小柄な東南アジア国々では、途上国として見下し横暴に振る舞う。
自分の思い通りに行かなければ、
と言わんばかりにキレるのだ。
こんな横暴なマナーの欠片もない日本人中高年オジサンの態度に、現地の人たちは「見下されている」と気づかない訳がない。
そのため、以前の記事でも書いたが「40歳以上の日本人宿泊お断り」とかいうゲストハウスが出てきてしまうのだ。
冒頭のホテルは5つ星のリゾートホテルだったが、現地のスタッフ達は・・・
と漏らしていた。
ゲストハウスでも5つ星のリゾートホテルでも、お金を持てる持ってない関わらず、どの層でも日本の中高年オジサンが海外でこの様な振る舞いをしているのがわかるエピソードだ。
まさしく日本の恥と言って、差し支えない。
日本のメディアは・・・
と言った内容ばかりではなく、このように海外から・・・
と見られていることをもっと報道していくべきだろう。
かつては、海外でブランド品を買いあさった日本のオジサン達は、今、海外で失笑を買っているのだから。
キレるオジサンたちが日本を滅ぼす?
少し日本の中高年オジサン達の話から逸れるが、イギリスのEU脱退の投票について、日本経済新聞に興味深い記事があった。
1万2369人の投票分析をみると、世代間の断裂が鮮明だ。18~24歳の73%、25~34歳の62%が残留を支持。ところが45~54歳を境に離脱が多くなり、65歳以上では60%が離脱に投票していた。
イギリスのシルバー世代はこの国の繁栄を身を持って体験しているため、この世代の多くの人が、
と考えている。
結局、今はもう戻らない「あの頃へ」の哀愁がEU脱退を決定づけたと言ってよいだろう。
しかし、残念なことにこの決定に向き合って行くのは、シルバー世代ではなく若者世代なのだ。
生まれ育った時代背景、環境というのは、その人の思考回路や行動原理に大きく影響する。
これを日本に当てはめるとどうなるか?
日本の年功序列の制度から、現在の日本の企業のトップの多くは、今はもう戻らない「あの頃への哀愁」を持った世代だ。
そのため、彼ら中高年のオジサン達の頭の中は未だに”Japan as No1”でいるものも多い。
しかし、彼らの頭の中が”Japan as No1”でも、現実は中国企業が東芝の白物家電、台湾企業がシャープを買収したりと、自分たちより下と思っていた国々に、お家芸のモノづくり企業が買われている。
日本の大企業のトップが老害であれば、近い将来、韓国企業や中国企業が日本の大企業を次々と買収していくという話も非現実的ではないかもしれない。
日本のオジサンが老害にならないために
以前、日本に一時帰国して友人と居酒屋で飲んでいる時に、隣の席に会社の上司と部下(20代と思われる)の間柄らしき人がいた。
上司と思われる人は終始・・・
と仕事についてお説教らしきことを宣っており、部下と思われる若者は終始、口答えをすることもなく「ありがたいお説教」を聞いていた。
相手のプライベートの時間まで削って、仕事の説教。
しかし、その実態は中高年オジサンの承認欲求と自己満足でしかない。
これが海外であったら、刃傷沙汰になってもおかしくないだろう。
これからますます国際化していくであろう日本の社会で、外国人の部下を持つ中高年オジサン達も増えていくと思う。
年上を敬う日本の文化は素晴らしいが、それに甘えているが現在の日本の中高年のオジサン達だ。
日本の中高年オジサン達も老害にならないために、常に自分の考えや価値観が時代に即しているのかと自問し、自らをアップデートする必要があるのではないだろうか?
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