日本の平均寿命は男性は世界3位、女性は2位を誇る長寿大国だ。
このことについては、ニュースで目にしたことがある人も多いだろう。
では、男女共に平均寿命が、世界一を誇る場所があるのは、ご存じだろうか?
その場所とは、香港だ。
日本には、世界トップクラスの治安の良さと高度な医療水準、さらに健康的と言われる日本食が存在する。
そんな長生きをするのに好条件な環境を持つ日本。
では、なぜ香港は、男女共にその日本を上回り、世界一の平均寿命を誇るのだろうか?
今回は、香港在住者として、自分のパートナー(香港出身)にも手伝ってもらい、その理由について紐解いてみることにする。
日本の平均寿命が長い理由
香港の平均寿命が長い理由を考察する前に、なぜ日本は世界第2位の長寿大国なのかと言う理由から考えてみよう。
その理由は、以下の3つに集約できる。
・高度な医療水準
・高水準な衛生環境
自分は50か国以上の国を訪れたが、日本ほど食がバラエティに富み、ヘルシーな食文化を持つ国は他になかった。
米や魚を中心とした食事に加え、豆腐、納豆、味噌などの大豆製品も多く、脂肪摂取量が少ない。
これらの伝統的な和食に加えて、肉料理を中心にした西洋料理も広く浸透しており、この絶妙なバランスが長寿大国たる所以の1つであることは間違えないだろう。
医療の面では「国民皆保険制度」で、子供からお年寄りまで、誰でも低価格で医療を受けることが出来る。
さらに、衛生環境の面でも世界トップ水準のレベルを誇る。
どの場所も衛生的に保たれていて、多くの駅で綺麗なトイレが、しかも無料で使用できるのは日本しかない。
しかしながら、食・医療・衛生の面で、ここまで良い条件が揃っている日本でも、平均寿命では男女共に香港の後塵を拝す。
その理由は、一体なんであろうか?
香港の平均寿命が長い理由
香港の平均寿命が世界一長い理由を考察する前に、香港の生活環境から説明していこう。
日本の長寿大国の根幹を支える、医療・食事・衛生の各環境は、日本とどう違うのだろうか?
香港の生活環境とは?
香港の食生活は「医食同源」と言われ、薬膳や漢方茶を日常的に摂取し、冷たいものなどを控える傾向がある。
レストランに行けば、どんな真夏日でも、出てくる飲み物は熱いお茶だ。
この様に、食に対する意識は高いものの、医療や衛生面では、日本の方が軍配が上がる。
香港は医療水準は高いが、日本のような「国民皆保険制度」がなく、医療費はすべて自己負担になる。
医療費が高く、十分な治療が受けられないケースも多い。公立の病院は値段は安いが、待ち時間が非常に長い。
衛生面では、お世辞にも良好とは言えず、街を歩いていてもゴミが散乱していたり、レストランも日本の様に衛生的ではない。
食・医療・衛生の総合的な評価では、日本の方に軍配が上がるのは間違えないだろう。
香港を世界一の長寿国たらしめる理由
そんな香港が世界一の長寿国たらしめる本当の理由。
それは、食・医療・衛生環境ではなく、住宅環境にある。
香港の住宅は、世界一高い。
米調査会社デモグラフィア調査では、香港人が住宅を購入するために必要な費用は年収の21年分とされ、2位のカナダ・バンクーバー(12.6年分)を大きく引き離している。
※18年の調査で東京は4.8年分
社会人になっても一人暮らしをする人はめったにおらず、結婚しても家が買えずに、親と同居という夫婦も珍しくない。
そんな香港の住宅環境だが、1つだけポジティブな面もある。
それは多くの高齢者が孤独を感じないということだ。
老後も子供、孫と同居している世帯も多く、例え同居していなくても、その香港の街のコンパクト故に、どこに居ても1時間以内で移動ができる。
日本の様に、年一回の里帰りとかではなく、会いに行こうと思えば、すぐに会える距離にある。
そのため、孤独を感じる高齢者が少ないため、日本の様に高齢者の孤独死というものもほとんど聞くことがない。
常に傍に家族がいること。それが香港が平均寿命が世界一である所以なのだ。
最後に
日本と香港。
世界トップの長寿を争う両者だが、その理由はまったく異なるものだ。
日本では、年間の孤独死が3万人を超えると言う。
今後、高齢者をサポートするハイテク技術が次々と導入され、日本の平均寿命はさらに延びるだろう。
しかし、どんなに技術が進歩しても、人とのつながりに勝るものはない。
香港の家庭を見ているとそう感じざるを得ない。
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