とよく聞かれるが、いつもこう返答している。
今、働いている職場は、定時退社で、有給も完全消化できる。
日本で勤めていた時と比較すると、1年で約1,440時間(60日分)もの自由に使える時間が増えたのだ。(詳細は後ほど説明する)
なぜ、このようなことが実現できたのかを端的に表したツイートがあったので、下記に紹介しよう。
定時までがあなたの実力。超えたら恥入りつつ、仕事が残ってても帰る。スポーツ選手だって試合終わってからコートでシュート決めてもダメでしょ。
定時超えても人が残ってたらマネージメント失敗。管理者は残った人数分だけ無能と感じましょう。日本以外の世界、98%が賛同する常識らしいですよ。— はじ (@hajimeTwit) 2016年10月18日
海外では皆が「残業=無能」という価値観を持っているため、残業時間の多さで業績評価がされることは絶対ない。
もちろん、休日出勤や強制参加の飲み会なども皆無だ。
そして、この残業に対する考え方が、日本と世界の優秀な人材との間に大きな差を生み出してることは、あまり知られていない。
今回は、そんな海外の「残業に対する考え方」と「余暇の過ごし方」を紹介するとともに、日本の残業の考え方に一石を投じ、無駄な残業がいかに個人のスキルアップの妨げになっているかを解説してみようと思う。
日本の「残業は当たり前」は異常!海外の残業の考え方。
実を言うと、自分は日本で働いていた20代の頃の方が給与は高かった。それは残業代がきちんと出るホワイト?な会社だったためだ。
しかし、その実態は毎日終電での帰宅で、睡眠時間は3〜4時間。土日は寝ることと家事だけで終わっていた。
今の海外での生活は、日本と比べると残業がないため、給与は多少下がったが、定時に帰って、アフター5は自分のために使うことができる。
語学、エクササイズ、プログラミング、資格等、毎日4〜5時間、この自由に使える時間を自分のために投資したらどうなるだろうか?
これが1ヶ月、1年と続いたら?
今住んでいる香港だけではない。以前、住んでいたシンガポールや他のアジアの大都市でも、多くのビジネスマンが、このようにアフター5を使って、自分自身のキャリアアップのために投資をしていた。
特に若い人は余暇を語学やプログラミング、副業などの時間にあて、スキルアップを図り、常により給与が高い会社へのステップアップを狙っている。
自身の能力を上げて、より給与の高い会社へと移る。それが世界のビジネスマンのトレンドな生き方なのだ。
彼らは会社で身につけたスキルの多くは、その会社しか通じず、汎用的ではないことを理解している。そのため、残業がいかにスキルアップの妨げになるかわかっており、業務に関して無駄なことは一切やらない。
・細部まで完璧なものを要求される”社内資料”
・”稟議”と言う名のおじさんの承認欲求を満たすためのスタンプラリー
・仕事ができない人間を黙ってひたすら待つ”付き合い残業”
・遅くまでオフィスに残ったものが賞賛される”評価システム”
・”飲み会”という名のおじさんの武勇伝発表会
多くの日本人がこれらは「当たり前のもの」として受け入れているが、海外の人材から見れば「時間の無駄」としか映らない。
自分のスキルアップはいかに残業を減らすかにかかっている。
それゆえの「残業=無能」という価値観なのだ。
残業は悪!残業を減らすと人生はこんなに変わる!
残業をせずに、アフター5の自由に使える時間を自分のために投資したら、毎日残業をしている人とどれだけ差がつくのだろうか?
以下に定量化して、今の残業のない生活と日本(東京)での社畜時代と比べてみた。
どちらも同じサラリーマンとしての生活だが、定量化すると恐ろしい事実がわかってくる。
残業がない職場での生活の変化 -勤務時間-
海外移住後:9時~17時半(実働労働時間 7時間30分)
差:4時間半
日本にいた時の残業時間は、毎月約80時間(100時間を越える時もあった)。毎月20日間、出勤すると仮定して、退社時間の平均で算出してみた。
定時帰りの場合と比較すると、1日で4時間半も差が出る。
月20日出勤すると仮定すると・・・
1ヶ月で90時間(3日と18時間)
1年で1,080時間(45日)
これだけの余暇があれば、1年で難しい資格の獲得や外国語の1つをマスターできる時間だ。
海外の人たちは、実際に、この余暇を使って体を鍛えたり、外国語を習ったり、資格の勉強をしたりと次のステップアップのために自己投資をしている。
日本では遅くまで残って残業していた方が、評価されたり社会人として力が付くと思われがちだが、1つの会社で身に付く技術や経験の中で、汎用的なものはせいぜい30%くらいだ。
よその会社に行けば通用しなくなるし、業界が違えば、前職の経験がまったく通用しないこともある。
しかし、日本の求人情報を見ると、未だに応募条件に「転職回数3回まで」などと記載している時代遅れな会社も多い。
こういった日本の環境が、日本人個人個人の汎用的なスキル獲得の機会を奪っており、世界の優秀な人材との差を広げられているのだ。
残業がない職場での生活の変化 -睡眠時間-
海外移住後:7時間
日本でのサラリーマン時代は、5時間の睡眠時間が取れれば良い方だった。1日の仕事のパフォーマンスを最適にするのは最低でも6〜7時間の睡眠時間は欲しい。
5時間睡眠を平日の5日間、連続で続けていたら、著しく仕事のパフォーマンスは下がる。
パフォーマンスが下がる→残業→睡眠時間減少→パフォーマンスが下がる…という負のサイクルは多くの日本人にとって常態化している。
日本にいた時に勤めていた会社では、就業中、男子トイレにも関わらず、常にほとんどのトイレの個室が使用中という不可思議な現象があった。
これは、トイレの個室が仮眠室として使われ、常に誰かが寝ていたからなのだ。その会社は日本で時価総額TOP5に入る会社だったのだが、労働環境はこのような有様だ。
一方、海外に移住後は、毎日7時間の睡眠を取っているので、体調も良く、仕事のパフォーマンスもあがり、良い結果が出せるという好循環な毎日を送っている。
残業がない職場での生活の変化 -通勤時間-
海外移住後:30分
残業とは直接関係ないが、日本の満員電車の通勤も、人生に多くの時間のロスをもたらす。
東京にいた頃は、新橋で働いていたのだが、普通のサラリーマンだった自分には、通勤時間30分以内という場所は、家賃が高すぎて住むことができなかった。
都心から少し離れた場所に家を借り、毎日、満員電車に揺られ痛勤をしていた。東京の満員電車は世界の中でも悪名高いが、通勤時間の長さも世界ワーストクラスの部類に入る。
東京への人口の一極集中化は仕方がないにしても、多くの会社が全社員同じ出勤時間を強制している柔軟性のなさや、1分の遅刻も許さない不寛容さが満員電車を引き起こしている要因でもあるだろう。
しかし、海外移住後は、毎日の通勤時間が往復で90分短縮になり、1年で90分×20日×12ヶ月=360時間、1年で15日もの余暇できた。
これを先ほどの残業削減時間を足すと、日本で働いていた時と比較して、以下の様な余暇の時間の差になる。
1ヶ月で120時間(5日)
1年で1,440時間(60日)
1年で約2ヶ月分もの余暇の差がつくのだ。
この分の時間を海外の優秀な人材は、自己投資に当てている一方、自己投資に当てる時間さえ作るのが難しい日本人。
サッカーで勝負するのに、チーム戦術の練習ばかりさせられ、ドリブルやシュートといった個人技術を学ぶ時間を与えてもらえない日本の労働環境では、前提条件から勝負になっていないのだ。
時代遅れの日本の労働観。世界との差は開くばかり。
残業だけではない。日本の労働環境や価値観は直ちに改善しなければ点がたくさんある。
・社歴が長い方が出世する人事制度
・転職がネガティブとされる人材の非流動性
・採用時に堂々と行われる年齢や性別での差別
・日本人は人材として一流という勘違い
この際、はっきり言おう。この様な環境や価値観で染まった日本の人材は、世界で戦えない。
加えて、今、移民の受け入れの是非が問題になっているが、このような環境では、海外の優秀な人材もやってくるはずがない。
こう言うなら、百歩譲ってそれで良しとしよう。
しかし、日本と同等またはそれ以上の給与で、かつ有給全消化で定時帰り、フェアな環境で働ける国があるならば、今後、日本の多くの若い人達は、そちらに魅力も感じ流れていくはずだ。
若者が流出し、海外の優秀な人材がやってこない国。
それが何を意味するかは言うまでもないだろう。
最後に
自分も海外移住してから、周りの海外の友人と共にジムに行ったり、副業や外国語を習ったりとアフター5の時間を自己投資に当てている。
日本で「余暇」というと「甘え」や「ゆとり」といった言葉が連想され、マイナスなイメージがあるのが否めない。
しかし、この「余暇」の時間を使って、自分の好きな分野でスキルアップを図るとすれば、残業月80時間というのは、1年で1,000時間以上の時間を無駄にしていることになる。
多くの日本人は「自分達、日本人は優秀」と思っているだろう。
確かに会社という集団で比較すれば、海外のそれと比較した時、それほど遜色はない。
しかし、個々の能力で比較した時、「日本人は優秀」というのは、はたして当てはまるだろうか?
今までは「島国という地理的条件」や「1億を超える国内マーケット」、「日本語しか通じない言語環境」といった特殊要因で海外の人材が流入せず、また日本も海外に出ていく必要がなかったため、海外の優秀な人材と比較する機会がなかったから表面化しなかった。
だが、少子高齢化で労働人口が減少している現在の日本は、もはや海外に活路を見出すしかない。
日本人は、自分達より1年で1,000時間以上を自己投資している海外の優秀な人材に、汎用的なスキルでどれだけ太刀打ちできるだろうか?
答えは言わずとも明白だろう。
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