今日はある知人を紹介する。
大学時代から、10年以上の付き合いになるアラサー日本人、A子(仮名)という女性だ。
このA子は去年、3年にも及ぶ婚活に終止符を打ち、遂に31歳で結婚をした。相手は婚活パーティーを通して出会った3歳年下の会社員の男性だ。
ここまで書くと何ら変哲もない、よくある話だろう。
しかし、実はこのA子、多くの男性から嫌われていた。
それは何故か?
彼女は20代前半の頃から常々、自分の結婚観や理想の男性像について、いつも声を大にして持論を語っていた。
だが、その自分のスペックを大きく超えた数々の高い理想や条件は、男性の間では「迷言」として、多方面から顰蹙(ひんしゅく)を買っていたのだ。
20代前半こそ、彼氏がポツポツいたものの、30歳手前のアラサーになると、高い理想を掲げる故に、彼氏もできなくなり、周りの結婚に焦る様になっていく。
この多くの男性を敵に回す様なA子は一体、どんな「迷言」を吐いていたのだろうか?
そんなA子のこれまでの10年間の結婚に対する数々の「迷言」を紹介すると共に、結婚後、A子はどうなったかを書いてみる。
これから紹介するのは、実際にA子が述べた「迷言」の数々だが、未だに日本人女性が、語らずとも心にうちに秘めているものでもあるかもしれない。
男性は、気分を害する恐れがあるので、そっとブラウザを閉じることをオススメする。そして、女性は「こういう女は男に嫌われる」という視点で見ていただければ有益なものとなると思う。
出身:東京都 結婚するまで実家暮らし
家族:両親と妹
学歴:某私立大学卒業後、派遣社員に
彼氏がいなくても自分は選ぶ立場!勘違い女・A子の迷言集(22歳〜25歳時)
花の女子大生A子
男は女のために働くもの!
A子の父親は東証1部上場会社の社員で、母親は専業主婦という典型的な昭和の日本の家庭で育った。そのため「女性は外で働く必要はない」と幼い頃から考えていた様だ。
大学卒業後も正社員として就職した会社を数ヶ月で辞め、派遣社員となった。理由は「楽だから」ということらしい。
社会人1年目A子
男なら女に奢って当たり前!
この頃のA子は合コンにも頻繁に参加していた。しかし、彼女は日頃「男なら女に奢って当たり前」と豪語しており、会計時には財布を出すそぶりもしなかったらしい。
二次会があった場合には、タクシー代まで相手に請求していたというから驚きだ。「男にいかに金を出させたか」をよく仲間内に自慢するほどの傲慢ぷり。
相手の男性たちから反感を買いまくっていたことは容易に想像できるが、もちろん本人にその自覚はなかった。
合コン三昧A子
女の幸せは結婚で決まる!
男が自分のために働いて、毎月の給与を全額、自分の懐に入れてくれる。A子はそんなATM型男性との結婚こそが自分を幸せにしてくれるものと信じて疑わなかった。
財布は夫婦別々という既婚男性には「だから、オマエはダメなんだ」「この甲斐性なし」と罵倒する始末。
「女の幸せは結婚で決まる。だから妥協したくない」。そう言って、この頃のA子は合コンに命をかけていた。仲間内で開いたA子の誕生日会も、学生時代の友人がA子のために集まってくれたにも関わらず、合コンがあるために途中で帰ったこともある。
それだけ、A子にとって結婚とは人生を決定づけるものだったのだ。
ちなみにA子の話を日本人以外の友人に話すと、皆かなりのカルチャーショックを受けてしまう。
自己評価の高いA子
顔がよくないとトキメかない!
相手の年収にもこだわるA子だが、年収が高ければ良いという訳ではない。A子は相手に求める外見のレベルも非常に高い。目は二重で、身長は180cm以上等々、かなり細かな条件を公表していた。
ちなみにA子の外見は・・・お世辞でも美人と言えるものではなく、中の中ほどだったが、自己評価はかなり高かった。
玉の輿を狙うA子
大企業に勤める男と結婚すれば一生安泰だよね!
A子は「大企業は絶対潰れない」と心のそこから信じており、合コンでも名前の知らない企業に勤める男には見向きもしない。
自分もよく「会社の人を紹介して」と言われ、一度だけ会社の同期を連れて、A子とその友達と合コンをしたことがある。しかし、男性陣の外見がお気に召さなかったらしく、終始不機嫌だった。
もちろん会計時には、財布を出すそぶりもしなかったのは言うまでもない。
年収200万A子
男なら年収は最低1,000万なきゃダメでしょ!?
A子が頻繁に口にしていたのがこのセリフ。もちろん、日本で年収1,000万を超える人は5%以下、20代となればなおさらという事実をA子は知らない。
ちなみにA子の年収は200万円。
相手に自分の5倍以上の年収を求める年収200万の女。
30歳手前になる頃には、希望年収は800万にまで下がっていたが、それでも自身の年収の4倍だった。
アラサー独身で彼氏なしの婚活女子A子の迷言集(26歳〜30歳時)
この頃から、やりたくもない仕事をしていたA子は頻繁に「早く結婚して仕事辞めたい」と言うようになる。
「結婚したら仕事が辞められる」と言う前提で、結婚というものを考えていた。あくまでもA子に取って、仕事とは結婚するまでの「おこずかい稼ぎ」と言う認識だったのだ。
実家暮らしのA子
実家暮らしの男は終わっている!
A子は母親と折り合いが悪く、常に実家を出たがっていた。しかし、安月給のため一人暮らしが出来ず、仕方なく実家暮らしを続けていたのだ。
そんな中、A子は合コンで知り合ったという大学4年生と付き合うこととなる。
実家を一刻も早く出て行きたいA子は、この大学生の彼氏(実家暮らし)に家賃折半での同棲を提案。しかし、まだ大学生の彼にとって、家賃の数万円はかなりの高額だ。
もちろん、彼氏はこの要求を拒否。
すると、A子は「実家暮らしの男は終わっている」という捨て台詞と共に彼に別れを告げた。
大学生の金に頼る社会人4年目の女。
この彼と別れた後、どうしても実家を出たかったA子は、当時、都内で一人暮らしをしていた自分にある提案を持ちかけてきた。
「家賃として毎月2,000円払うから家に置いて」
都内で暮らすには20,000円でも少ないが、まさかの一桁さらに少ないという提案だった。
もちろん、拒絶したのは言うまでもない。
まだ本気を出してないA子
アラサー独身は負け組。30歳過ぎて独身の人間は問題がある!
A子は「昭和の日本人」のように、30歳までに結婚しない女性は売れ残りと考えており、頻繁に「30歳までに結婚したい」と周囲に漏らしていた。
自分は常に相手を「選ぶ立場」にあり、本気を出せばいつでも結婚できる。そう信じて疑わなかった。
そのため、30歳まで残り3年となっても、上記の発言のように余裕をかましていたのだ。この時のA子は自身が独身のまま30歳を迎えるとは、露にも思わなかっただろう。
いよいよ本気を出したA子
合コンは相手の年収がわからないので非効率!
自分は相手を「選ぶ立場」にあると思っていたA子だが、大きな転機が訪れる。
A子の妹が学生時代からの恋人と結婚したのだ。
A子の妹は、社交的で性格の良い子だった。妹より自分は美人だと思っていたA子は「なんであんなブスが私より先に結婚できるんだ」と妹に先を越されたことに対して憤慨。
そして、結婚相談所に入会し、自分の月収の三分の一以上を婚活につぎ込むようになる。
そんな大金をつぎ込んでまで、結婚相談所を利用する理由がA子にはあった。
その理由は「男性の年収が簡単にわかる」からだそうだ。
その紹介所は男性のみ年収を公表する義務があり、会員サイトで男性の年収が検索できたり、パーティでの自己紹介カードに年収記入欄があったりと、女性は簡単に相手の年収を知ることができるらしいのだ。
「合コンは相手の年収がわからないので非効率。もっと早く結婚相談所に入会しておけば良かった」と言うA子の新たな婚活が幕を開けた。
未だ年収200万A子
年収400万じゃ生きていけない!
結婚相談所で、医者や大企業に勤める男性に猛アタックするもことごとく撃沈していくA子。
アラサーになり、彼氏のいない期間が続いたが、29歳の時に、なんとか社会人3年目の会社員の男性と付き合うが出来た。
しかし、A子はこの彼氏の年収に悪態ばかりついていた。
「彼氏の年収が400万しかない!年収400万じゃ生きていけない」
25歳男性の平均年収は340万円と言われている。社会人3年目で年収400万は立派な数字だと思うのだが、どうやらA子の要求は満たせなかったようだ。
30歳になってしまったA子
早く結婚して婚活辞めたい!
30歳を過ぎた辺りから、A子のビッグマウスはどんどんトーンダウンして行った。
終わりの見えない婚活で心をすり減らす毎日。
自分は余裕で結婚できると思っていて、アラサー独身女性をバカにしていた20代。まさか自分が独身で彼氏なしの30代を迎えるとは思いもよらなかったのだろう。
特に一番精神的に参っていたのは、周りの同級生達の結婚だ。
自分だけ置いていかれてるという焦りと不安。
周りの同級生達が結婚するにつれて、A子はそこまで年収にはこだわりを見せなくなり、「既婚」というステータスだけを追い求めて婚活を続けていた。
幸せが他人との比較の上に成り立っているA子にとって、もはや結婚は手段ではなく目的となっていたのだ。
周りに合わせて、結婚を急いだA子の悲惨な末路
マリッジハイなA子
早く結婚してこっちの世界に来なよ〜
一刻も「既婚」というステータスが欲しかったA子は、31歳で遂にゴールインする。
冒頭でも書いた通り、相手は婚活パーティで出会った3歳年下の会社員だ。
妥協と言ったら相手の男性に失礼だが、A子が20代の頃に思い描いていた理想とは程遠い結果となった。思い描いていた理想とは違うが、ようやく手に入れた「既婚」というステータス。
プレッシャーから解放されたA子は、独身者に向かって「早く結婚してこっちの世界に来なよ〜」と優越感に浸っていた。
しかし、この幸せは長くは続かない。
離婚したいA子
私が専業主婦になれないのは、旦那の給料が低いからだ!
「既婚」というステータスが一刻も早く欲しかったA子は、結婚を急いだが、その幸せは1年も続かなかった。
元々、専業主婦希望のA子は、周りの友人が専業主婦で悠々自適な生活(少なくともA子からはそう見える)をしているのを見て、次第にフラストレーションを溜めていく。
自分が専業主婦になれないのは、旦那の給与が低いせい。
そう考え出しだA子は、次第に夫との喧嘩が絶えなくなっていく。
そして、現在は実家に戻り、離婚に向けて話し合いを進めている。
アラサー独身を負け組と表現する日本のヤバい風潮
今の日本人女性の結婚観には2つの問題点がある。
1つは、A子のように高い理想を追い求めがちなことだ。
A子が10年間、常に語ってきた迷言はかなり極端だが、部分部分で未だに多くの日本人女性が抱える結婚観でもある。
確かに今から20年前までは、世界史でも稀に見る日本の高度経済成長により、男性だけの収入でも家族を養うことが可能で、女性は専業主婦という形で家庭に専念できた。
そのような親世代を見てきた世代は、専業主婦が当たり前と考えがちだが、今の日本は20年前の日本とは違う。それがわからず、相手に自分の何倍もの年収求めるは「時代の変化を読めなてない」と言わざるを得ない。
2つめの問題点は(これは女性だけでなく、男性にも存在するが)、結婚が「手段」ではなく「目的」になってしまっていることだ。
A子もそうだったが、結婚しないと友達、親、世間に会わす顔がないと言わんばかりに、強迫観念に駆られ、日々婚活に励む人が大勢いる。
果たして、結婚の意味とは何だろうか?
本来であれば結婚とは、好きな人と一緒に生きるための「手段」であり、「選択肢の1つ」であるはずだ。
しかし、今の日本では「アラサー独身」が「負け組」「痛い」「ヤバい」等々の言葉で表現され、多くの日本人がこの様な言葉に踊らされ、焦りを覚え、物事の本質を見失い、結婚が「目的」となってしまっている。
その証拠に「なぜアラサー独身は負け組なのか?」という問いに、明快かつ論理的に答えられる日本人はどのくらいいるだろうか?
「アラサー独身は負け組」等の決まり文句は、物事の本質が見えないマスメディアとお金儲けをしたい婚活業界とそれを盲目的に信じるその他大勢の幻想にすぎない。
自分で物事の本質を考えることをせず、大学進学や就職活動の様に「周りがやっているから」という理由だけで、結婚しようとする日本人達。
「空気を読む」のもちろん大事だが、「時代を読む」と「物事の本質を考える」ということを教育レベルでやっていかなければ、いつまでたっても、A子のような理想と現実のギャップに苦しむ人間が、日本からいなくなることはないだろう。
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